国民・榛葉幹事長 永田町キーマンに 与野党と連日協議 試される手腕
10月の衆院選で躍進し政局のキャスチングボートを握った国民民主党で、榛葉賀津也幹事長(参院静岡選挙区)の存在感が高まっている。経済対策や国会運営を巡り連日、与野党幹部と協議を重ね、永田町のキーマンの一人になっている。榛葉氏は「政策実現のために妥協はしない」と強気。ただ、他の野党から「与党を少数に追い込んだのは国民民主の力だけではない」とけん制する声も上がる。「等距離」とする与野党各党との調整力が試されている。 「国民民主だけが政治を動かせる立ち位置にいるわけではない。肝に銘じてほしい」。7日、国会内で開かれた、衆院初当選の国民新人議員の会合。榛葉氏は党内を引き締めた。玉木雄一郎代表も出席していた。 榛葉氏は衆院選後、自民や公明、立憲民主各党の幹事長と会談。衆院選で国民が公約に掲げた年収が103万円を超えると所得税が課される「年収の壁」の引き上げに協力を求めた。自民の森山裕幹事長をはじめ与野党内に広く人脈があり、国民関係者は「交渉役にはうってつけだ」と推す。 一方で、キャスチングボートは「もろ刃の剣」でもある。政策実現には与党との連携が必要だが、寄りすぎれば他の野党の反発を招きかねない。足元の国民の動きに対し、他の野党からはすでに「与党と何ら変わらない」との批判がもれる。榛葉氏も神経をとがらせる。1日の記者会見では報道各社が国民と与党との連携を「部分連合」と報じたことに対し「各党と案件ごとにやる。自民とだけではない」と反論した。 来夏の参院選では改選となる自身の選挙だけでなく、党勢拡大の手腕も問われる榛葉氏。今後半年の政局の行方は、選挙戦の各党の対決構図に直結するとの見方もある。2019年の前回選では野党間の調整が不調に終わり、立民の“刺客”と激しく争った。両党の支持母体である連合静岡の幹部は「今の国民はどっちつかずで、いいとこ取りをしようとしているように見える。両党が協力して政権交代を狙う枠組みをつくるべきだ」と求める。
静岡新聞社