3軍では無双の19歳右腕 阿部監督が来春キャンプでテスト起用明言した育成ドラ5ルーキーの描く未来図
巨人の若手選手の今を伝える「From G」。第17回は育成右腕の園田純規投手(19)。高卒1年目の今季は4月中旬に実戦デビューし、3軍の先発ローテーションに定着。48イニングで自責1の防御率0・19と圧巻の数字を残した。阿部監督が来春1軍キャンプでのテスト起用を明言している有望株がプロ1年目を総括。胸に秘める指揮官の“金言”を明かし、飛躍への決意を語った。また、駒田3軍監督が園田の魅力と今後の育成プランを明かした。(取材・構成=小島 和之) 【写真】久保コーチとフォーム修正に取り組む 驚がくの数字を残した一年を、園田は冷静に振り返った。高卒1年目ながら3軍の先発ローテを担い、19登板で4勝0敗、防御率0・19。新星候補として将来を嘱望される存在となった。 「未知の世界だったので最初は不安の方が大きかったですが、毎日野球ができることがすごく楽しくて。3軍戦で途中からは先発ローテを任せていただいて、課題や悔しい試合もすごく多かった。一番の目標だった、2軍公式戦での登板ができずに悔しかったですが、それ以外に関しては数字もそこそこ。理想はもっと高いところにありますが、思っていた以上に順調に1年目は終えられたのかな、と」 体づくりをメインにしつつ、投球フォームを固めた。打者との駆け引きにも自信を深めた。 「打者に対しての考え方、タイプや反応を見ながら投げるというのは高校時代とは全く変わりました。高校時代は最速143キロだったのが、今季は149キロ。体重が増えたこともあるし、自分に合った投げ方を見つけられたことが球速や変化球のキレにつながってきたのかな、と。野上さん(3軍投手コーチ)には体幹と下半身の使い方をシーズン通して言われていました。この前、3月の時のブルペン動画を見たら、もう全く投げ方が違っていました」 3軍とはいえ、高卒1年目の投手が先発ローテを任されるのは珍しい。将来、生きてくるであろう登板へ向けた調整法を学べたことは大きな財産となった。 「登板前の食事はすごく意識して取り組みました。前日の夜は生魚や油ものを控えて、胃もたれするぐらい食べない。朝食はしっかりと食べて、時間を逆算したり、食べるものを考えました。高校の時は何も考えていなかったですが、1年目で知ることができたのはすごく大きかった」 順調そのものの1年目を終えたが、右腕の胸には危機感がある。秋季練習中に阿部監督から聞いた言葉がその理由だという。 「秋季練習で、阿部さんが(同学年で育成左腕の)千葉に『体づくりをするのは当たり前で、それプラス技術や投球内容にこだわっていかないと1軍には上がれないよ』と話していたんです。育成選手に与えられた時間は短いので、少し焦りを感じました。体づくりは早く終えて、技術にフォーカスすることが理想。もともと、痩せ形で(筋肉が)付きにくいとはトレーナーさんには言われているんですが、この世界に残るなら言い訳になる。そんなことは言っていられない」 阿部監督は、来春1軍キャンプで有望株の園田と千葉をテスト起用するプランを明言。報道を通じて知ったという右腕は、期待を意気に感じながらオフシーズンを過ごしている。 「ちょうど朝食を食べていて、寝ぼけている時に記事が出ていることを知らされて『えっ!』って(笑)。すごくありがたいですし、うれしかった。でも、そこには絶対に(阿部監督の)意図があると思うので気が引き締まりました。2年目のスタートなので大事にしたいですし、チャンスを頂けるのなら、しっかりと準備をして勝ち取りたい。期待をされている分、覚悟を持ってやりたいです」 年明けには「自分の理想のイメージ」と憧れる山崎伊に弟子入りし、技術や感覚を貪欲に学ぶ。さらなる飛躍が期待される来季、思い描くステップとは―。 「先発として回りたいという思いは変わりません。身長があって手足が長いタイプなので、高さや角度を生かせる体は持っている。自分の強みを早く見つけて、それを磨いて勝負できるようにしていきたい。3軍で通用しても、2軍や1軍では通用しないことがほとんどだと思う。そのレベルで通用すれば自信になるし、ダメだったとしても、自分の持ち味は変えたくない」 計り知れない潜在能力を、生かすも殺すも自分次第。プロで生き抜くために必要な芯の強さを、19歳はすでに持っている。 一生懸命取り組む 姿勢が素晴らしい 園田が優れているのは、悪いなりに投球を組み立てることができる点です。例えば「今日は直球が打たれそう」と感じたら、カーブを多くしながらストライクが取れる精度を持っている。それが、今季のような防御率を残せた要因だと思います。 同じく高卒1年目の千葉もそうですが、一生懸命に取り組む姿勢が素晴らしい。我々首脳陣が3軍から2軍に推薦する場合、上のレベルでプレーしたことで勘違いをして伸び悩みを生む可能性もあります。ですが、この2人は現段階で2軍、1軍へと上げても取り組む姿勢が変わることなく、自分の信念、方向性をぶらすことなくやっていくことができるでしょう。 2年目の来季は慌てさせることなく、一歩ずつステップを踏ませたいと考えています。3軍監督としては再来年を想定していますが、「よし、1軍でいこう」となった時に力を発揮できるような準備をさせていきたいです。(巨人3軍監督・駒田 徳広) ◆園田 純規(そのだ・あつき)2005年7月7日、福岡県・大野城市生まれ。19歳。小学3年から大野城ジュニアホークスで野球を始め、大利中では那珂川ベースボールクラブでプレー。福岡工大城東では1年秋からベンチ入りも甲子園は出場なし。23年育成ドラフト5位で巨人入団。趣味は釣り。背番号019。183センチ、72キロ。右投右打。
報知新聞社