2度目の防衛を果たし、笑顔を見せる中谷潤人＝有明アリーナ（佐藤徳昭撮影）

ボクシングの世界戦が14日、東京・有明アリーナで行われ、世界ボクシング評議会（WBC）バンタム級王者の中谷潤人（M・T）は同級1位のペッチ・ソー・チットパッタナ（タイ）に6回2分59秒TKO勝ちし、2度目の防衛を果たした。 ◇ 6回、じわじわと相手を追い込んでいた中谷が牙をむいた。鋭い左カウンターにひるんだペッチに畳みかけ、ベテランをプロ78戦目で初のダウンに追い込んだ。一度は立ち上がった相手をラウンド終了間際に強烈な左で再びダウンさせ、レフェリーが試合を止めた。「ほっとしている。KO負けがない選手に勝てたのはよかった」と涼しげに振り返った。 快勝への下地はつくっていた。3回までに相手のパンチの威力を見極め、「近くでやっても大丈夫」と判断。その後はあえて接近戦に打って出た。「近くでやった方が消耗させられる。倒すには消耗させていく手段が必要」。練習してきた右アッパーを駆使してスタミナを削り、3戦連続となるKO勝利につなげた。 派手な決着を目指すのはプロとしての矜持。「大きくなる期待を上回るのが僕の仕事。みなさんの楽しみになってもらえれば力になるし、ありがたい」。次に目指すのも、どの相手が来ても日本人対決となる他団体のバンタム級王者との王座統一戦だ。対戦を希望していた井上拓真（大橋）は13日に王座から陥落したが、「チャンピオンは誰でも（いい）」。この階級で頭一つ抜けた強さを見せつけるつもりでいる。（奥村信哉）