裏金疑惑の橋本聖子議員 政倫審での説明と収支報告書が食い違いだらけ 「あまりに無責任。議員辞めるべきだ」と専門家 これが問題の報告書の写真
◆「裏金ではない」の根拠とも合わない不可解
橋本議員は政倫審において次のように説明している。 「私の政治活動に関する収入と支出は全て収支報告に計上されており報道されているようないわゆる裏金ではないということが結論であろうかと存じます」 裏金でないと強弁しているが、橋本議員からの借入金を安倍派からの寄付金と訂正処理すれば済むはずだ。ところが、収支報告書の訂正はこれだけではなく、不可解だらけなのだ。 橋本議員が代表を務める「ジャパニーズドリーム」という資金管理団体がある。「ジャパニーズドリーム」は橋本議員の「第83支部」に、「金銭以外のものによる寄付相当分」として、21年22年ともに6300万円ずつが計上していたが、それが今年3月1日、両年ともに4243万円に減額する訂正がなされている。 その差額は年間2057万円、2年分で4114万円になる。この「金銭以外のものによる寄付相当分」とは、いったい何を指すのか。収支報告書からはまったくわからない。そもそも21年22年とも安倍派から離脱しているので訂正する必要はないはずだ。 安倍派が収支報告書を訂正したのは、今年1月31日だった。しかし、「第83支部」及び「ジャパニーズドリーム」が訂正したのは3月1日だ。 まったく不可解だらけである。橋本議員の事務所に質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。
◆政倫審での説明か報告書のどちらかが虚偽
一連の自民党派閥のパーティ券問題を刑事告発し続けている上脇博之神戸学院大学教授は次のように指摘する。 「国権の最高機関を構成する参議院の政倫審において自ら説明した内容が、実際の収支報告書の訂正内容とこれほど食い違い整合性がないのは、あまりにも無責任です。政倫審での説明が真実なら、報告書の訂正は規正法違反の虚偽記入罪になってしまいますし、訂正が真実なら、政倫審での説明が虚偽だったことになります。にもかかわらず、記者の質問に真摯に回答しないというのは、主権者の代表者としての自覚がない。即刻辞職すべきです」
◆東京五輪汚職事件の説明はどこへ行った?
政倫審での説明と実際の収支報告書が、まったく食い違っているのであるから、橋本議員はあらためて説明する責任がある。また、橋本議員は東京五輪組織委員会会長だったにもかかわらず、一連の東京五輪汚職事件でも説明責任を果たしていない。政治家としての資質に疑問符が付くと言わざるを得ない。 ■ 鈴木祐太(すずきゆうた) 1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。