石破首相に苦言も…裏金非公認候補への2000万円支給「選挙後に配ればよかった話なのでは?」
石破茂首相(自民党総裁)は24日、派閥裏金事件を受けて公認されず無所属で衆院選(27日投開票)を戦う前職候補に、党本部が活動費として2000万円を振り込んでいたとする「しんぶん赤旗」の報道に、「憤りを覚える」と猛反論した。党も「党勢拡大のため」などとする文書を公表し、火消しに躍起だ。裏金議員への巨額資金支給を正当化するような態度は、選挙戦最終盤、有権者にどんな印象を与えるのか。野党はさらに批判を強めている。 【写真】43歳元グラビアアイドル、自民党の公認証を公開 ◇ ◇ ◇ 石破首相はこの日、広島市での街頭演説で、しんぶん赤旗の報道に言及した。自民党は衆院選公示前、党の候補者が代表を務める支部に「公認料分」500万円、「活動費」1500万円の計2000万円を支給したが、同紙は、非公認の候補が代表を務める政党支部にも公示直後、公認候補と同額の2000万円が振り込まれたと報じている。 首相は「公認していない候補者に金を払うようなことはございません。私たちは候補者にお金など出しておりません」と、色をなして反論。「この厳しい中、なんとか自民党の公約や政策を分かってもらいたいという思いで政党支部に出している。非公認候補に出しているのではございません」と述べ、非公認候補ではなく政党支部への支出だと主張。「そのような金を選挙に使うことは、まったくない」とも口にした。 「このような時期に報道が出ることに憤りを覚える。そのようなことは一切いたしませんとはっきりと申し上げたい」と語気を強め、「そのような報道や偏った見方に、負けるわけにいかない」とまくしたてた。 首相は公示前の党首討論で、使途公開の義務づけがない政策活動費の選挙での使用を問われ、答弁が迷走。当初は使う可能性に言及したが批判を受け、選挙中は使わないと修正に追い込まれた。今回の説明も、説得力に欠けるとの指摘も出ている。 裏金問題や政権への不信感で、ただでさえ自民党の大苦戦が指摘されている選挙戦最終盤での、「2000万円支給」報道。自民党は各陣営に文書を配布し、2000万円は「支部活動の活発化や党勢拡大のため」とし「公認/非公認とは無関係」「『裏公認』『偽装公認』という指摘は一切当たらない」と、支給を正当化するような内容になっている。非公認の無所属候補は2000万円を選挙活動で使えない、とも訴えるが、有権者には分かりにくい。ある自民党陣営の関係者は「選挙に使わないというのなら、もしばれても誤解を招かないよう、選挙後に支給すればよかった話ではないのか」と苦言を呈した。 立憲民主党の野田佳彦代表は、石破首相の「憤り」発言に対し、「憤っているのは国民だ」と批判した。自民党は選挙戦の最終盤まで裏金問題を引きずり、じりじりと追い詰められている。