「野球史上最高の日だ!」大谷翔平が「50-50」の歴史的偉業を達成するまでの軌跡
時間の問題とみられていたドジャース・大谷翔平の「50本塁打&50盗塁」。前人未到の大記録は、我々の想像をはるかに超える方法で成し遂げられた。
「6打数6安打・3本塁打・2盗塁」で偉業達成
「48本塁打&49盗塁」で迎えた19日(日本時間20日)のマーリンズ戦。1番指名打者で先発した大谷は、初回の第1打席でライトへ二塁打を放つと、4番ウィル・スミスの打席で三盗に成功。まずは今季の盗塁数を50個に乗せた。 その後は得点圏に走者を置いた場面で2本の適時打が飛び出し、早くも猛打賞を記録。チャンスに弱いイメージを払拭すると、第4打席から3打席連続本塁打の離れ業を見せ、2回表の盗塁を含めて、「51-51」にまでその数字を伸ばした。 結局、この日の大谷は6打数6安打、3本塁打、10打点、2盗塁の大爆発。ドジャースが挙げた20得点の半数を大谷一人が叩き出した形だ。
現地実況も歴史的瞬間に大興奮
そんな大谷が3本目のアーチを描いた直後には、現地放送局のアナウンサーも「野球史上最高の日だ!」「彼は人間じゃない!」と興奮気味に実況。ところがその後、信じられない光景を目にしたアナウンサーが約20秒間の沈黙に陥ると、コンビを組む解説者から「大谷のせいで言葉を失っているね。ただ彼を見ていたいんだろ……」というツッコミが入ったほどである。 この日の打棒爆発で大谷は一気に「54-54」ペースにギアアップ。今の勢いなら、「55-55」すら通過点となりそうな雰囲気を漂わせている。
シーズン開幕前に立ちはだかった壁
チームの153試合目で区切りの「50-50」を達成した大谷。改めてその活躍を振り返っておくと、ドジャース1年目の今季は決して順風満帆な船出ではなかった。 まず、ドジャースと10年総額7億ドル(当時のレートで約1034億円)の超大型契約を結んだ大谷だが、そのうちの6億8000万ドル(約1005億円)が契約満了後の後払いという内容だった。これはチームが支払う贅沢税を低く抑えることに繋がるため、チーム並びに提案者の大谷を批判する論調も目立った。 また、大谷は開幕直後にも予期せぬトラブルに見舞われた。3月の韓国・ソウルシリーズでパドレスを相手にデビューした大谷は、2試合で10打数3安打とまずまずの滑り出しを見せていた。ところが、ここで巻き起こったのがあの狂騒曲だ。 大谷にとって“最高の相棒”だった水原一平氏の違法賭博問題である。 水原氏は通訳兼“事実上のマネージャー”という立場を悪用。大谷の銀行口座から自身の口座へ送金するなどの不正を働き、合計60億円を超える莫大な借金を背負っていたことが後に判明した。大谷は関与を否定したが、2人の親密な関係性もあって、あらぬ疑惑をかけられたのは言うまでもない。中には「共犯説」まで取り沙汰されるほどだった。