強風下でも積極性貫いた筑波大GK佐藤瑠星、名門背負う最終学年への決意「強み、存在感、スケールをもっと圧倒的なものに」
[12.22 インカレ準々決勝 筑波大 0-0(PK4-5) 明治大 さくらスタジアム] 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 吹き荒れる強風の中でも好セーブを続けた守護神だったが、最後はPK戦で涙をのんだ。大学屈指のセービング能力を誇り、J1クラブ入りが確実視されている筑波大GK佐藤瑠星(3年=大津高)は試合後、「今まで取り組んできたことを全て試合で出したので、悔いはない」と力強く言い切った。 関東大学リーグで王座を譲った明治大との一戦。今季の関東ベストイレブンに輝いた佐藤はピッチを縦断する強風の中でも積極的な姿勢を失わず、ハイボールに対しても安定したキャッチングを続け、0-0のまま時間が過ぎる試合の中で存在感を放っていた。 「こういう大事な試合でも自分のやるべきことは変わらないというマインドでいつもやっているし、(強風というコンディションの中でも)当たり前のようにやっていかないといけないのでそこは意識している」(佐藤) 延長前半12分には自身の飛び出しからこぼれ球を相手に拾われ、相手の決定的シュートをDF小川遼也(2年=富山U-18)のブロックに救われるという場面もあったが、「自分のプレーを見失ったらそこで終わり」と揺らがず。風下の延長後半でも相手のセットプレーをことごとくキャッチし、メンタル的な能力の高さも示す一戦となった。 大会を通じては、グループリーグ第3戦・九州産業大戦でもこの日と同様、飛び出してパンチングした後の流れから失点を喫するなど課題は残った。ただ、幅広い守備範囲は現代型GKの必須能力。「飛び出すか、飛び出さないか」の判断ではなく、「飛び出した上でどう守るか」という高い視座を持ち続け、さらなる成長につなげていく構えだ。 だからこそ佐藤は、失点に直結する2つのピンチについても「まだまだ技術が足りなかった。その後のカバーリングに助けられたことは感謝しているけど、個人としてもっと突き詰めないといけない」と真摯に総括。「自分が出られるボールは出ていく上で、弾き方、弾く場所さえ意識していれば自分のところで解決する」という理想像を掲げた。 「結果論として『出なきゃ良かった』というのもあるかもしれないけど、自分はそうした強みを活かしてやっていきたい。(同じ結果論でも)『出て良かった』という結果で終わらせるプレーを心がけていきたい」(佐藤) 卒業後はJ1クラブへの加入が確実視されている中、自身に求めるのは広い守備範囲を実現させる「準備の質、技術の質」だ。「プロに行くにあたってワンランクスピードも上がるし、質も上がるので、もっと準備の速さを意識しないといけない。」。飛び出した後の戻り方、戻った後のポジショニングにもこだわって取り組んできており、これからの1年間でさらに洗練させていくつもりだ。 なお、筑波大では同学年のMF加藤玄(3年=名古屋U-18)が1年前倒しで名古屋グランパス入りを決断。他大学の有力選手にも前倒しでプロ入りを選ぶ選手が出てきており、世代屈指のGKである佐藤のキャリア選択にも注目が集まっている。 それでも佐藤は「チャンスがあればプレーしたいけど、まずは試合に出るということが大事。筑波に貢献したい気持ちもあるので、筑波第一に考えたい」と断言。「今年出た課題をもっと突き詰めて、プロに行くための技術を逆算しながら取り組まないといけない。最高学年になって責任感も出てくるので、自分の強み、存在感、スケールをもっともっと圧倒的なものにしていきたい」とさらなる飛躍を誓う。 その責任感の背景には、高校年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグを初制覇した母校・大津高の躍進から受けた刺激もある。 「プレミアリーグWESTを圧倒的な力で優勝して、ファイナルも相手に何もさせないくらいのプレーをしていて誇らしいなと思った。自分たちが成し遂げられなかった全国制覇。選手権も自分たちは決勝で悔しい思いをしているので、これからの選手権でも頑張ってほしい」(佐藤) そうエールも送った佐藤だが、今季の大津高の躍進は2021年度の全国選手権で史上初の決勝進出に導いた自身を始めとした先輩たちの積み上げがあってこそ。次は佐藤が名門・筑波大でそのサイクルをさらに前進させる番だ。 「上の代が上にいくからこそ、下の代がどんどん強くなっていくというサイクルはとてもいいこと。今季のインカレはもう終わってしまったけど、自分たちも来季こそは優勝して、どんどんこのサイクルをつなげていって、筑波大蹴球部をより強くしていきたいと思っています」。2年ぶりの関東王座、そして9年ぶりの日本一を使命に新シーズンに臨む。