米長期国債、「今が売り時」と示唆-完璧な実績残したテクニカル戦略
(ブルームバーグ): 今年完璧な実績を残したテクニカル取引戦略が、先週の相場上昇を受け、米長期国債は今が売り時と告げている。
米資産運用会社ブラックロックの米国債上場投資信託(ETF)「iシェアーズ米国国債20年超ETF(TLT、資産額510億ドル=約8兆400億円)」 は14日、テクニカルストラテジストが呼ぶ「トレーディングエンベロープ(移動平均線乖離率バンド)」を上抜け、買われ過ぎが示唆された。買われ過ぎの状態になった証券を手放し、売られ過ぎと判断されたら買うよう求める指標に基づく戦略で売りシグナルが誘発された。
「移動平均エンベロープ」戦略は今年1月と2月、4月の3回シグナルを発し、いずれも利益を生んだ。2024年のリターンはプラス約18%と、ブルームバーグがフォローするテクニカル指標採用のストラテジーで最も成績が良い。
このストラテジーは、米30年国債利回りが当時として年初来で最も高い4.8%まで上昇した4月16日に3回目のトレーディングシグナルは発していたが、それは「買い」シグナルだった。
米連邦準備制度の金融政策への期待に連動し、米国債相場が広いレンジを浮動する中で、証券のモメンタムが極端になる場合に逆方向の賭けを目指す戦術は今年うまく機能した。
米国債相場が週間ベースで昨年12月以降最も上昇したことを受け、17日の取引開始時に投資家に売りを促す最新のシグナルが14日に点滅した。先週発表された米インフレ率が予想を下回ったことで、連邦準備制度が9月にも利下げを開始するとの確信が強まり、10年国債と30年国債の利回りは14日に過去2カ月余りで最も低い水準まで下げた。
週明け17日の30年国債利回りは一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、4.43%を付けた。最も活発に取引される債券ETFの一つTLTは、トレーダーが今週相次ぐ社債発行に備える状況で、1%余り下落した。