“井端ジャパン初黒星”2つの敗因 専門家が指摘…台湾に見せつけられた執念
相手の1番打者はダブルスチールを決め、ホームスチールまで狙った
さらに「日本の投手はインコースへの投球が少なかったとも感じました。特に戸郷の時に、捕手が内角に構えたのが果たして何球あったかと言うと、僕の見たところではわずか2~3球で、そのうちの1球を3ランされました」とも指摘。「あのピンチでカウントは3-2。ほとんど投げていない内角へ投げようとして、甘くなるなという方が無理でしょう」と戸郷に同情する。 「日本のバッテリーが内角に投げきれなかったのは、打たれたくないという“恐怖心”が普段より高かったからだと思います。対照的に、技術的には日本に劣るチャイニーズ・タイペイの投手は、すっぽ抜けのコントロールミスも含めて、内角にどんどん投げていた。結果的に、日本の打者は微妙に打撃を狂わされていたと思います」と付け加えた。 また、年齢制限のない主要国際大会で初めての優勝に漕ぎつけたチャイニーズ・タイペイからは、強い執念が感じられた。7回先頭の1番打者チェン・チェンウェイが左前打で出塁し、次打者の右前打で二塁に進塁すると、1死後、一塁走者とともにダブルスチールを決めた。さらに、マウンド上の隅田知一郎投手(西武)がロジンを手にしようと背中を向けた瞬間、ホームスチールを狙ってスタート。隅田が察知したため三塁へ帰塁したが、相手のわずかな隙も見逃さない姿勢がうかがえた。野口氏は「彼は韓国の盗塁王といわれていますが、この大会では1つも盗塁をしていなかった。日本との決勝まで隠しておいて、相手の警戒が少々緩んだタイミングで出してきたのではないでしょうか」と相手側の深謀遠慮に目を丸くした。 「チャイニーズ・タイペイは前日(23日)の日本戦に予告先発するはずだったリン・ユーミンを、罰金を払ってまで決勝戦の先発に変更したことを含め、優勝するために使える手は全て使った印象です」と評する。 村上宗隆内野手(ヤクルト)、岡本和真内野手(巨人)らを故障で欠き、若手中心のメンバーで臨んだ侍ジャパンも死力を尽くしたが、大会連覇に届かなかった。この“借り”は、2026年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で必ず返してくれるはずだ。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki