【京都金杯回顧】岩田康誠騎手のイン狙いが光る 重賞初Vコレペティトールに飛躍の予感
ブリンカー装着で先手を奪ったドルチェモア
最終的な1番人気は昇級初戦のトゥードジボンで5.4倍。大混戦で迎えた関西圏の年はじめは、展開も読みにくく、輪をかけて難しかった。セルバーグ、シャイニーロック、トゥードジボンあたりがハナ候補だったが、なにがなんでもというタイプはいない。8歳のシャイニーロック、1番人気のトゥードジボンは行かない公算が高く、セルバーグは発馬でヨレてダッシュを利かせられなかった。好発を切った馬たちが出方をうかがうようなときこそ、思ったよりペースが速くなるのはよくあることだ。 【中山金杯 2024最終予想】本命はAI予想家2体が◎、買い目は13点推奨! AIを使い的中を狙う (SPAIA編) セッションがハナに行くかと思わせたところに、外から先手を主張したのがドルチェモアだ。3連勝で2歳GⅠを勝った後は成績が落ちてしまい、秋にはスプリント戦にも挑戦するなど、試行錯誤のなかにいる。なんとかして復活をという強い願いを感じる。前走の中日新聞杯で折り合いにメドを立てていたが、今回は外枠でさらにブリンカーを装着していた。これが裏目に出たようで、序盤からムキになっていたようにみえた。前半600mは12秒2-10秒4-11秒1で33秒7。ドルチェモアがかなりの勢いでハナに立ったため、400~600m地点でペースが落ちなかった。 その後は上り坂で少しペースダウンしたものの、前半の800mは45秒3。後ろを離したドルチェモアだけが厳しいペースで突っ込んでしまった。後半800mは11秒4-11秒8-13秒0-12秒3と下り区間であっても失速ラップになり、4コーナーから直線半ばは13秒0とドルチェモアに余力は残っていなかった。残念ながら、なかなか出口がみえてこない。
コレペティトールに流れる意外性の血
全体としてはハイペースであっても、2番手以下は平均ペース程度。上がりがかかったとはいえ、後方の追い込み勢まで出番は回ってこなかった。2番手から先に抜け出したセッションは、ドルチェモアがもう少しペースを落とし、粘ってほしかったことだろう。早々に先頭に立ち、1頭で踏ん張らざるを得なくなった。併せる相手がいれば、残せたかもしれない。 先行集団の攻防を見るように早々に内ラチ沿いをとり、じっと狙っていたのが勝ち馬のコレペティトールだ。昨年は重賞の壁にはね返されたが、条件戦から再出発して重賞タイトルに手が届いた。母ベガスナイトの産駒は2017年のきさらぎ賞を勝ったアメリカズカップや、昨年の日経新春杯で10番人気2着に入ったキングオブドラゴンなど、意外性のある個性派ばかり。父ジャスタウェイは4歳秋に本格化し、5歳でGⅠ・2勝、ジャパンCでも2着とハーツクライ産駒らしい晩成型。コレペティトールもここにきて明らかにパフォーマンスが変わってきた。次走でもう少し上の相手と戦ったときに、どれほどの走りを見せるか楽しみだ。メドを立てるようなら、本格化ととってもいい。 もちろん、徹底的にインを狙った岩田康誠騎手の得意パターンでもあった。だが、京都の芝は全体的に走るごとに掘れており、少し軟らかいように見えた。見直すと、コレペティトールが通った内ラチ沿いはほかと比べると硬いようだった。最内1頭分だけ状態がよかったなら、岩田康誠騎手の馬場読みの勝利でもある。