トランプ長男が関係するVCが「ミサイル関連」防衛テック企業に24億円出資
トランプ次期大統領の長男のドナルド・トランプ・ジュニア(46)が関与する投資会社が、防衛関連のスタートアップ企業Firehawk Aerospace(ファイアーホーク・エアロスペース)の6000万ドル(約94億9000万円)の資金調達を主導したことが、フォーブスの取材で明らかになった。 保守的な企業への投資に特化したベンチャーキャピタル(VC)である1789キャピタルは、初の防衛テクノロジー分野の新興企業への投資として、ファイアーホークに1500万ドル(約23億7000万円)を出資した。今回の同社のシリーズCラウンドは、今月末までにDraper Associates(ドレイパーアソシエイツ)やBoka Capital(ボカキャピタル)といった他の出資者からの追加投資を得て完了する見通しだ。ファイアーホークは、評価額を明らかにしていないが、関係筋によれば2億ドル(約316億4000万円)を超えるとされている。 ダラスを拠点とするファイアーホークは、ミサイルや宇宙ロケット向けの個体ロケット推進剤を3Dプリンターを用いて製造する企業で、国防総省や防衛請負業者との契約で初期の成功を収めている。1789キャピタルのプレジデント、オミード・マリクは「米国ではミサイル不足が発生している。今回の出資は、米国の安全保障と競争力を強化するための防衛テック関連の投資の一環だ」と語った。 トランプ・ジュニアが昨年11月に参画を発表した1789キャピタルによるこの投資は、防衛テック関連のスタートアップへの関心の高まりの中で行われた。ピーター・ティールのPalantir(パランティア)や、パルマー・ラッキーのAnduril(アンドゥリル)を含むこの分野の新興企業は、軍事向けソフトウェアや兵器の販売を通じて、数十億ドルの政府契約を獲得して、巨大企業へと成長している。次期トランプ政権と密な関係にある1789キャピタルは、ファイアーホークの政府関連の事業を後押しするための有利な立場にある。 ■右派の価値観に合致する投資 最初のファンドで1億5000万ドル以上を調達した1789キャピタルは、公式サイトで自社の投資のスタンスがESG投資(環境や社会、企業統治を重視する投資)に反対する立場だと説明している。ESGのムーブメントは近年、Woke(ウォーク)と呼ばれる社会的正義を重視するエリート主義に傾き過ぎていると保守派から批判されている。 トランプの支援団体Rockbridge Networkを立ち上げたクリス・バスカークとオミード・マリクが率いる1789キャピタルは、保守系の動画サイトRumble(ランブル)やSubstack(サブスタック)といった企業を支援して、左派に対抗する勢力を後押ししようとしている。