昭和の少年アニメファンが“やられた敵”なのにカッコいい!と憧れた「機動戦士ガンダム」ランバ・ラルという漢の最期
敵でありながら、その最期に“カッコいい”と目を奪われた人は多かっただろう。ランバ・ラル隊はホワイトベースに白兵戦を仕掛けたが、アムロ・レイ(CV:古谷徹)ら地球連邦軍の決死の抵抗の前に作戦は失敗。ランバ・ラル(CV:広瀬正志)は手榴弾を持ったままホワイトベースを飛び降り、ガンダムの手の上で爆発し散っていった。 【映像】ガンダムの手の上で爆発に消えるランバ・ラル(21分40秒ごろ~) ランバ・ラル隊はホワイトベース艦内への侵入に成功し、サブブリッジの占領を目指した。途中、銃を構えたフラウ・ボゥと遭遇したが、ランバは彼女の銃をはたき落し、「銃を持っていれば殺す!どこかに隠れているんだ」と叱りつけるだけで手は出さなかった。2度も命を救われる形となったフラウ・ボゥは、走り去るランバの後ろ姿を複雑そうな表情で見つめていた。 「妙だとは思いませんか?少年兵ばかりというのはどうも……」と腑に落ちない様子の部下に、ランバは「どこも人手不足だからな」と答えつつも、容赦なく爆弾を投げつける。少年兵にも銃を向けるその非情な一面に、当時の視聴者も背筋を凍らせたことだろう。 侵攻を続けるランバは、セイラ・マス(CV:井上瑤)と鉢合わせた。セイラはジオン・ズム・ダイクンの娘で、シャア・アズナブルの妹でもある。ダイクンの死後、セイラはランバの父、ジンバ・ラルに兄妹ともに引き取られていたのだ。セイラの顔を見た瞬間、ランバは「ひ……姫!姫様か!」と驚愕した。 セイラはランバのことを思い出すと「アルテイシア(セイラの本名)と知って、なぜ銃を向けるか!」と叱責。ランバは動揺しながらもなぜ地球連邦軍側にいるのか問いただそうとした。しかし、そこにリュウ・ホセイが発砲しながら突撃してきた。ランバは負傷しながらも反撃に出たが、「ランバ・ラル、退きなさい!」とセイラに命じられ、第2ブリッジに逃げ込んだ。 追い詰められたランバは「お前たちは退け!作戦は失敗だ」と部下に撤退を指示した。そして内縁の妻クラウレ・ハモンに通信で「ランバ・ラル、戦いの中で戦いを忘れた……」と謝罪の言葉を残した。 その後、ガンダムが第2ブリッジを破壊しランバ・ラル隊は壊滅。ランバ自身も満身創痍の状態となった。自らの最期を悟ったランバは、ブライト・ノアら連邦軍の少年兵たちを前に「君たちは立派に戦ってきた。だが、兵士のさだめがどういうものかよく見ておくのだな」と言うと、信管を抜いた手榴弾を手にガンダムが破壊した穴から飛び降りた。 アムロはとっさにガンダムの手を差し出し、ランバを救おうとした。しかし、ランバはその手のひらの上で爆発。壮絶な最期を遂げた。ランバの姿は、戦争とは何かを自らの命をもって教えるかのようだった。 アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。 (C)創通・サンライズ
ABEMA TIMES編集部