ストレスや運動不足が引き金に。過敏性腸症候群(IBS)の原因をタイプ別に探る
腹痛や下痢、便秘が頻繁に起こるので、電車に乗れば各駅で下車、試験や会議は何度も中座。食事後にすぐトイレに行きたくなるので、外食もできない……。そんな人は、「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません。よくわからない怖い病気というイメージを持つ人もいるでしょう。でも、原因をつきとめ、適切に対処すれば治せる病気です。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 そこで、この連載では、話題の新刊『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』(水上健 著)のエッセンスを全8回にわたりご紹介。過敏性腸症候群(IBS)の特徴や治療法、日常生活で注意すべきことなどを詳しく解説します。 自身やまわりの人の症状を和らげながら、健康な体を取り戻していくためのヒントを見つけてください。今回は、IBSの原因に大きくかかわっている「体質」についてお伝えします。 『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』 第3回 『便秘や下痢はどうして起こる? 過敏性腸症候群(IBS)を知る前におさえておきたい腸のしくみ』より続く
過敏性腸症候群(IBS)は8~10歳の思春期以降に発症する
過敏性腸症候群(以下、IBSと表記)の原因には、「体質」が大きくかかわっています。そのためIBSを発症するのは、体質が決定する8歳から10歳の思春期以降です。便秘の下剤で腹痛になる未就学児はいても、思春期前の小学生にIBSはほとんどみられません。 思春期は、子どもの体が大人の体に、子どもの頭が大人の頭に切り替わる変わり目で、調子を崩しやすい時期でもあるからでしょう。IBSのために休学や退学に追い込まれる人も少なくありません。また、思春期のころに発症したまま成人になっても悩まされている人も多いです。 そんなIBSには現在、とても有効な薬があり、販売されたときはすべてが解決するかと思われました。しかし、そうはならず、いまでもIBSで困る人は多くいます。それは、IBSにはまったく異なる4つのタイプがあるからです。 ひとつのタイプを解決する薬がすべてのタイプを解決することができるわけではないのは当然です。薬が効かない、治療がうまくいかないのは、実際のタイプが想定と違う場合や、複数のタイプが重複している場合などで、当然の理由があります。 IBSは以下の4タイプに分けられています。 【IBSのタイプ】 ●ストレス型 ストレスに反応して腸が動く。大腸の動きが早くなって下痢、遅くなって便秘に ●腸管形態型 大腸がねじれたり立位時に落下したりして排便が困難になる ●胆汁性下痢型 胆汁酸が多く結腸内に流入して下痢を起こす ●消化不良型 脂質やFODMAP(フォドマップ=発酵性糖質)の消化吸収不良で下痢をする