《ジョンベネ事件の真相》「警察は証拠となる脅迫状をダメにしていた」私立調査員と実父のジョン・ラムジーが司法に対して不満を抱き続けるワケ
それにしても、なぜ、クラーク氏は、脅迫状がダメになったことを知っているのか? そんな疑問をぶつけると、同氏はボールダー警察のラボに電話したのでわかったと答えた。 「ジョンベネの事件を調査しているので、脅迫状のコピーがほしいと電話でお願いしたのです。すると、電話に出た女性は、私が警察内部の調査員と勘違いしたのでしょう、脅迫状は分析官が席を離れている間に溶出したと話したのです。途中で、私が警察内部の人間ではないことがわかった彼女は“今話したことは伏せて下さい。私がクビになります”と慌てていました」 ボールダー警察はネットフリックスのドキュメンタリー番組が公開されるのに先立ち、最新の捜査状況についてこう述べている。 「全ての証拠をデジタル化してサーチ可能なデータベースに入れた。それらのファイルには2100以上の情報、17州2か国で行われた1000以上の聞き込み、手書きの文面やDNA、指紋、靴の跡を含む200以上のサンプル、約2500の証拠物、100万ページ以上の調査内容が書かれた約4万の報告書が含まれている。ボールダー警察はラムジー一家とやり取りを続けており、どんな情報でも歓迎している」 もっとも、ボールダー警察のそんな声明に対し、クラーク氏の調査チームは不満を露わにしている。
カギを握る犯人の親族のDNA情報
「我々は2年前から警察と検事局に情報を提供している。25時間プレゼンテーションできるだけの情報を持っているのに、警察は全然興味を示さない」 同じ不満をジョン・ラムジー氏も持っているようだ。ABCテレビの報道番組「ナイトライン」でこう述べている。 「数ヶ月前、警察署長と話した時、彼は追加検査ができるほどのDNA技術がまだないと思うと話してました。私は、技術がまだないというのには反対です。技術はあります。私はある主要なラボのファウンダーらに会いましたが、彼らはやれることがあると話してくれました。彼らは検査を行って、調査を助けたいと思っているのです」 事件が起きた1996年当時にはなかった、現在のDNA技術で犯人を割り出したいと訴えたジョン・ラムジー氏。特に、今、未解決事件を解決するのに注目されているのが、犯人の親族のDNA情報だ。実際、1970年~1980年代、少なくとも13人を殺害し、50人以上の女性をレイプした“ゴールデン・ステイト・キラー”と呼ばれた連続殺人犯は、2018年、証拠物に残されていたDNA情報をDNA家系図サイトGEDmatchにアップロードしたことがきっかけとなって特定された。このサイトには、犯人の遠い親族のDNA情報が登録されていた。長い間、野放しにされていた“ゴールデン・ステイト・キラー”だったが、親族のDNA情報を見つけ、その親族の家系を辿ることにより、元警官のジョゼフ・ディアンジェロの逮捕に至ったのである。 ジョンベネを殺した犯人にも、犯人の親族のDNA情報を得ることで、たどり着けるのではないか。そう確信したクラーク氏の調査チームは、重要参考人の12人の親族のDNAサンプルを集めているところだ。 クラーク氏は今年もジョンベネの氷の彫像を作った。いつの日か正義をもたらしてみせる。そんな決意を込めて。
飯塚 真紀子
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