名優ヒュー・グラント、「恋愛コメディの主役よりも、悪役がいい」
『ノッティングヒルの恋人』や『ブリジット・ジョーンズの日記』などロマンティック・コメディの帝王として、世界中に多くのファンを持つ俳優ヒュー・グラント。最新作『パディントン2』では、以前は人気を博したが、いまは落ちぶれて自己愛が強い俳優という役を、コミカルかつ哀愁いっぱいに演じた。 「俳優は世界で一番邪悪で嘘つきな存在だ」という劇中のセリフに「まさしくその通りだよ」と笑顔を交えて語ったグラントが、自身の俳優人生を振り返った。
「落ちぶれた元人気俳優」あてがきに傷ついた
グラントといえば、1980年代からテレビや映画、舞台で俳優活動を始めると、甘いマスクにセクシーな声を駆使し、数々のロマンティック・コメディで世の女性を虜にしてきた。そんな彼が『パディントン2』では、落ちぶれた元人気俳優で、プライドが人一倍高いという役を演じた。しかもメガホンをとったポール・キング監督からは「君にぴったりだよ」とあてがきされたことを教えられたという。 グラントは「かなり傷ついたよね」と冗談交じりに笑うと「でもこうしたキャラクターを与えてくれたことは光栄なこと。どんな役でも、そのキャラクターを演じられるかどうかは自分でもわからない。そこにはリスクもあるけれど、僕ら俳優は飛び込むしかない」と語る。 グラントは「リスク」という言葉を使ったが、劇中、彼が演じたフェニックス・ブキャナンは、ハゲヅラを被ったり、尼僧に扮したりとかなり大胆なキャラクターだ。しかも嘘つきで心が狭いと、ネガティブなキーワードばかりが浮かび上がってくるが、実際スクリーンに映し出されたブキャナンは、なぜかコミカルで憎めない。まさにグラントならではの演技で、観客を魅了する。 ジャパンプレミアの壇上でグラントは「年を重ね醜くなれば、やりがいのある役が舞い込んでくる」と語っていたが、醜いかどうかは別として、まさに本作は彼にとって“やりがいのある役”という位置づけの作品なのだろう。