これほどまでに間違っている「石破発言」 専門家が解説
元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が12月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「本来の資本主義に戻す」とする石破元幹事長の発言について解説した。
自民党の石破氏が、自身が目指す経済政策について「本来の資本主義に戻す」と述べる
日本経済新聞によると、自民党の石破茂元幹事長はインタビューのなかで、以下のように発言した。 ―– 『自民党の石破茂元幹事長は24日配信のラジオNIKKEIのポッドキャスト番組に出演しました。自身が目指す経済政策について「本来の資本主義に戻す」と述べました。財政や金融政策の正常化の重要性を訴えました。社会保障をはじめ政策に取り組む際は「必ず財源(の確保)とセットだ」と強調し「その議論がどこかにいってしまったのは自民党のあるべき姿だと思わない」と話しました』 ~『日本経済新聞』2023年12月24日配信記事 より ―– 飯田)「本来の資本主義」という発言について、どうご覧になりますか?
石破氏と岸田総理の言う「資本主義」とは何なのか?
片岡)それらしく言うとそれらしく聞こえる言葉の1つとして、「資本主義」というものがあります。岸田総理も「新しい資本主義」と言い、石破さんは「本来の資本主義に戻す」と話している。問題なのは、ご両人がおっしゃっている「資本主義とは何なのか」というところが、聞いている方にはわからないことです。 飯田)資本主義というのが。 片岡)例えば「社会保障をはじめ、政策に取り組む際は必ず財源の確保とセットだ」と示していますが、私はこれを聞いて「石破さんは少し甘くないか?」と思いました。ご本人が言いたいのは財源の確保ではなく、「増税と歳出削減をセットで」ということですよね。
政策は財源の確保とセットで行われている ~将来の子どもに関する政策は国債で手当てするべき
片岡)それを「財源の確保とセットだ」と言うのは、緊縮派の政治家の風上にも置けない言動で、もっとはっきり言うべきです。私自身はこういった話はまったくの論外だと思います。財源を確保するときには国債を発行する手段もあるので、現状の岸田政権もそうですが、政策は財源の確保とセットで行われているわけです。 飯田)岸田政権も。 片岡)そうでないと政策はできません。ただ、彼らが言いたいのは、国債の発行は除外しているということなので、そこが問題だと思います。異次元の少子化対策などの話がありますが、特に将来の子どもに関する政策については、将来返せる、負担能力があるという意味において、国債で手当てするのがまともな方法だと思います。 飯田)国債で。 片岡)そういった議論を抜きに「お金が四六時中足りない」という前提で、あっちを立てたらこっちが立たず、社会保険料を増額したり、その財源を使って異次元の少子化対策を行うような方向になっている。そのようなやり方から、いい加減に脱却したらいいのではないかと思いますね。