これほどまでに間違っている「石破発言」 専門家が解説
可処分所得が実質でマイナスが続くような状況で消費が増えることはない
片岡)石破さんの発言には、さまざま突っ込みどころが満載なのですが、どこから話しましょうか。 飯田)増税に関しては「きちんと使ってくれるという安心感が政府にあるか」ということですが……。増税して社会保障が盤石になれば、安心してお金を使うというような論は、いろいろなところで言われています。 片岡)安心で消費が増えたらこれほど楽なことはないわけです。ご自身の状況も振り返っていただきたいのですが、政府の動きが安心だからと言って、消費するでしょうか? 飯田)どうでしょうね。 片岡)私自身はそもそも所得が足りていないような気がします。むしろその辺りを充実させてから、それでも消費しないのであれば、そこで初めて考えればいい論点だと思います。可処分所得が実質でもマイナスが続くような状況のもとで、消費を増やせというのは無理な話です。 飯田)「若い人は車を持たない」などと言われますが、そもそも可処分所得がこれだけ減っており、その上、増税や社会保険料が上がるとなると、みんな生活防衛に走りますよね。
経済が拡大してデフレから脱却するまで金利を上げるのを待つのが、金利が早く上がる経済に戻すための必要条件
片岡)「おかしいと言えない組織に永続性はない」とも言っているようです。 飯田)派閥の政治資金問題に関連してということですね。 片岡)石破さんは完全に「おかしい」と言っているので、そのような石破さんが自民党におられるということは、自民党は永続性のある組織だと言いたいのかなと思います。 飯田)なるほど。 片岡)労働分配率を正常にしなくてはいけない、金利が上がるような経済にしなくてはいけないというのは、まさにその通りです。デフレから完全に脱却できれば、物価だけでなく金利も上がる状況になります。労働分配率自体も、いまの日本は企業全体では最低ラインになっていますが、賃上げなどの動きが拡大していけば分配率が上がります。 飯田)賃上げが拡大すれば。 片岡)しかし、石破さんの発言の問題は「金利を上げたら、金利が上がる社会になる」というように勘違いしているところです。金利は物価が正常化して経済が正常化されたら、自然と上がるものです。経済が拡大してデフレから完全に脱却するまで金利を上げるのを待つのが、金利が早く上がる経済に戻すための必要条件なのです。 飯田)デフレから脱却するまで金利を上げるのを待つ。 片岡)最初に金利を上げてしまったら、経済成長はしません。かつて「利上げして経済成長を」とおっしゃる人はいましたが、それがいかに間違いであったかは歴史が実証しています。石破さんがご自分の主張を通したいのであれば、ご自身が考えることの逆をやればいいと思います。 飯田)早急な利上げはせず、財政を拡大させた上で、最後に果実を採るということですね。 片岡)それなら「本来の資本主義」に戻せるのではないでしょうか。