三井物産出資のデジタルアセットマーケッツ、Ava Labsと協業──コモディティのトークン化インフラを整備
トークン化資産の市場規模、2030年までに2兆ドル超か
資産をブロックチェーン上でトークン化する取り組みは、「RWA(Real World Assetの頭文字をとった略語で、現実に存在する資産の意味)」のトークン化と呼ばれ、少なくとも過去5年間で活発化してきた。 JPモルガン・チェースやシティグループ、ブラックロックなどの世界の金融をリードしてきた巨大企業が、一部の金融資産をトークン化する構想を進める一方で、チェーンを基盤に開発を行うスタートアップがこの分野では多く生まれてきた。 世界最大の資産運用会社であるブラックロックは今年、米国の短期国債などに投資するファンドをトークン化し、一部の投資家にトークンで販売する事業を始めた。「BUIDL」と名づけたファンドには現在までに、5億ドルを超える資金が流入している(DeFiLlamaのデータ)。 ボストンコンサルティングは2023年、トークン化される資産の市場規模が2030年までに10兆ドルを超える可能性があるとする報告書をまとめた。一方、同社の競合にあたるマッキンゼーは今年、市場規模はベースシナリオで2兆ドル近辺とし、上振れすれば4兆ドルに達する可能性があると予想している。 コモディティ商品のトークン化構想については、これまで国内の大手金融機関や商社などが構想を練ってきた。例えば、300万社を超える中小企業が産業構造を形成する日本で、製造原料がトークン化されるようになれば、企業は原料コストの変動をヘッジするためのデジタル取引をオンチェーンで行うことが可能となる。 鉄鉱石、銅、天然ガス、原油、コーヒー、穀物などの多くのコモディティを取引してきた三井物産と連携する一方で、DAMSは国内外の企業とのアライアンスを活用しながらコモディティのトークン化構想を具現化する方針だ。 コモディティ資産がトークン化され、そのトークン取引が日常化すれば、中小企業などが利用できる財務基盤強化の一手になり得る。 |文:佐藤 茂|画像:リリースより※編集部より:デジタルアセットマーケッツの略称を「DAMS」に修正し、更新しました。
CoinDesk Japan 編集部