高杉真宙”惟規”ロスが止まらない…これほどの”愛されキャラ”になったワケ。大河ドラマ『光る君へ』第39話考察
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。これまで道長を恨み、呪詛し続けていた伊周が亡くなる。さらに、まひろにとって大事な人もまた1人…。今回は、第39話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】高杉真宙のイケメンぶりも見納め…貴重な未公開写真はこちら。NHK大河ドラマ『光る君へ』劇中カット一覧
物語の重要人物2人の退場…。
伊周(三浦翔平)が発狂して道長(柄本佑)に襲いかかり、家司に連行されていく姿を目撃したまひろ(吉高由里子)。『光る君へ』第39回では、それからしばらくして伊周が世を去る。 容姿にも家柄にも恵まれ、自信に満ち溢れていたかつての姿はもうどこにもない。死の直前まで道長に奪われ尽くした己が人生を嘆いていた伊周。だが、最後の最後は妻子に囲まれ、定子(高畑充希)の無邪気な幻声を聴きながら穏やかにその時を迎えた。 口端はかすかに微笑んでおり、隆家(竜星涼)は静かに涙をこぼしながら「あの世で栄華を極めなさいませ」とはなむけの言葉を贈る。その生き方には賛同できなかった隆家だが、それはそれとして最後まで野望を持ち続けた兄への尊敬の念も感じさせる弟らしい見送りだった。
親の出世の道具に使われる娘たち
一方、道長は「できれば、俺の目が黒いうちに、敦成様が帝とおなり遊ばすお姿を見たいものだ」と四納言たちに零す。自分の血を引く敦成を次の天皇に、という野望を道長はもはや周囲にも隠さなくなってきた。さらには自身の権勢をより強固なものにするために、道長は次女の妍子(倉沢杏菜)を東宮・居貞親王(木村達成)のもとに嫁がせる。 妍子は奥ゆかしい姉の彰子(見上愛)とは異なり、率直な性格のよう。18歳年上の居貞親王(とは言ってもまだ35歳)を「すら~っとして凛々しくとも年寄りは年寄りでございます」とぶった斬ったのには笑ってしまったが、「私たちは父上の道具」という言葉には思わずドキッとさせられた。 親の出世の道具にされ、天皇に嫁ぐも不幸な人生を送った姉の詮子(吉田羊)や忯子(井上咲楽)を見て哀れに思っていた道長が今、娘たちに同じことをしている。道長は無自覚でも、娘たち、特に妍子は父親の思いに敏感なのだ。 そんな妍子にまひろは「そのようなお言葉は、ご自身を貶められるだけでございます」と進言するが、彼女もどこかで道長が変わっていくのを不安に思っている。その道長から娘・賢子(南沙良)の裳着に際して祝いの品々を賜るも、相変わらず母娘の関係はギクシャクしていた。