「九年庵」新たな魅力 公開範囲3倍に、庭園見下ろす眺望も 11月15日から秋の一般公開
紅葉の名所で国の名勝「九年庵」(神埼市神埼町)の秋の一般公開が15日から始まる。赤く染まりはじめたモミジと、庭園を覆う緑のコケが織りなすコントラストを楽しめる。今年は公開範囲に山林平場を加えて従来の3倍に拡大、庭園を上から眺めて楽しむこともできる。23日まで。 九年庵は、明治時代に活躍した佐賀の実業家・伊丹文右衛門と弥太郎親子が築造した別邸や庭園で、県内で唯一、国の名勝に指定されている。明治時代の特色を残す数寄屋造りの建物の周りを140本のモミジとコケ、飛び石が囲んで美しい景観を作り出し、昨年は約3万5千人が来場した。ここ数日の冷え込みで、次第に赤く色づいた部分が広がっている。神埼市商工観光課は「週明けからの冷え込みで19、20日ごろに見頃を迎えるのでは」とみている。 今年は、建物の北西に位置する山林平場約1000平方メートルが新しく調査・整備され、建物や庭園を見下ろすことができる。平場は仁比山護国寺跡で、江戸や明治の頃とされる石塔や灯籠、水路なども残っている。県によると、今後も調査範囲を拡大するという。 一般公開に合わせ、近くにある「伊東玄朴旧宅」が15日から5年ぶりに公開される。改修工事で休館していた。 九年庵の一般公開は期間中、午前8時から午後4時まで。九年庵付近の一般駐車場は利用できず、吉野ケ里歴史公園臨時駐車場(普通車500円)から無料シャトルバスが出ている。高校生以上は、入場に1000円が必要。問い合わせは県政策部、電話0952(25)7230。(樋口絢乃)
樋口絢乃