Jムーバー第2弾、ホンダSUV「HR-V」が129.8万円~デビュー【今日は何の日?9月22日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、ホンダが進めたクリエイティブムーバー(生活創造車)に続いたJムーバー(楽しさ創造車)の第2弾「HR-V」が誕生した日だ。HR-Vは、斬新なスタイリングやスポーティな走りが特徴のCR-Vよりひと回り小さい都会派コンパクトSUVである。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・HR-Vのすべて ホンダ・HR-Vの詳しい記事を見る ■コンパクトなクロスオーバーSUVの先駆けHR-V 1998(平成10)年9月22日、ホンダから若者をターゲットにしたスタイリッシュなコンパクトSUV「HR-V」がデビューした。街中の走行も似合う“アーバンクール”をコンセプトにした、斬新な都会派のコンパクト・クロスオーバーSUVの先駆け的なクルマである。 クリエイティブ・ムーバーに続いたJムーバー ホンダは、1980年代後半、“クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)”というコンセプトの新型モデルを続々と投入した。クリエイティブ・ムーバーとは、実質的にはRVと同じような位置付けのクルマだが、“クルマは使う人が自らの生活を思いのままに創造・演出するための道具と位置づけ、主人公はあくまで人”という考え方で、具体的には空間効率に優れ、走行中でも停車中でも楽しめるクルマを指す。 その第1弾が、ミニバンブームをけん引した「オデッセイ(1994年~)」、第2弾は、都会派SUV「CR-V(1998年~)」。第3弾はコンパクトミニバン「ステップワゴン(1996年~)」、第4弾は車高が高くユーティリティに優れた「S-MX(1996年~)」である。 そして、クリエイティブ・ムーバーに続いたのが、RV戦略として“Small is Smart”の考えに基づいた“J(Joyful)ムーバー(楽しさ創造車)”である。第1弾は、新世代マルチワゴン「キャパ」であり、第2弾が“アーバンクール”をコンセプトにした「HR-V」だった。 ステーションワゴンとSUVを融合したコンパクトSUVのHR-V HR-V=Hi-rider Revolutional Vehicleは、兄貴分のCR-Vより一回りコンパクトな3ドアのハッチバックだが、全高を抑えながら地上高190mmを実現したステーションワゴンとSUVを融合させたようなハイランダースタイルが特徴である。フロントマスクは、大小2つの円型ライトとその曲線に合わせたバンパーで構成され、若々しい雰囲気をアピールした。 パワートレインは、最高出力105psの1.6L直4 SOHCの標準仕様と125psのVTEC仕様の2機種エンジンと、CVTおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFとオンデマンド4WD。オンデマンド4WDは、タイヤがスリップすると初めて4WDになる方式。CVTは、ホンダマルチマチックSで、ステアリングに配置されたスイッチで通常走行用のDモードと、俊敏な走りが楽しめるSモードを切り替えることができた。 車両価格は、最も廉価な5速MT仕様が129.8万円、トップグレードのVTECエンジンの4WD仕様が162.8万円。当時の大卒初任給は19.6万円(現在は約23万円)程度なので、単純計算では現在の価値で廉価仕様が152万円、トップグレードが191万円に相当する。 斬新で都会的なデザインが一部のファンには評価され、海外では人気を獲得したが、国内販売は苦戦を強いられた。結果として、2005年に1代限りで生産終了となってしまった。 HR-Vは、その後ヴェゼルへと進化して大ヒット Jムーバーの第1弾キャパと第2弾HR-Vは、クリエイティブ・ムーバーのオデッセイやCR-V、ステップワゴンのような大ヒットとはならず、1代で生産を終えた。しかし、HR-Vの2代目は海外で販売され、国内では2013年から「ヴェゼル」として販売を始めた。 ヴェゼルは、HR-Vの特徴を受け継ぎ、コンパクトながらホンダ独自のセンタータンクレイアウトによるミニバンのような余裕の室内空間、広い荷室をアピール。パワートレインは、最高出力131psの1.5L直4 DOHC i-VTEC直噴エンジン+CVTと、同エンジンに1モーター+7速DCTを組み合わせた“SPORT HYBRID i-DCD”を組み合わせたハイブリッドが設定された。 優れた走りと低燃費を両立させたヴィゼルは、2014年~2016年まで3年連続でSUV国内販売台数NO.1に輝く、大ヒットモデルとなった。 ・・・・・・・・ HR-Vは、現在人気のコンパクト・クロスオーバーの先駆け的な存在だったが、期待したほど人気は得られなかった。しかし、その後受け継いだヴェゼルが人気モデルとなったことから、HR-Vはヴェゼル人気の礎となったと言える。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純