20年で半減 深刻な外科医不足 手術待ちに外科閉鎖も 女性医師語る「医療現場の実態」
近年、外科医不足が原因で、手術を受けたくても受けられず、中には半年待ちになったケースもあるといいます。 外科医の数は、20年で半減。深刻な状況です。 【画像】20年で半減の外科医 女性はわずか7.7%
■医師不足 痛みこらえ “手術待ち”
外科医不足による影響です。 70代女性 「病院で、腸閉塞になりかけていると診断されたが医者が足りず、他の患者さんの手術を優先され、すぐに手術してもらえなかった。1週間ほど痛み止めを飲んでこらえた」 60代男性 「60代の妻が、今年1月にひざの手術を予定していたが、担当医が突然辞めてしまい、中止になった。代わりの医師はいないと言われ転院したが、検査のやり直しなどで、結局、手術は4月になった」 20代 救急救命士 「病院に搬送したくても、『手術できる先生がいない』という理由で断られることは頻繁にある。近くに受け入れ先がない時は、隣の市の病院まで1時間かけて搬送することも」
■地方の医療体制にも影響 外科閉鎖も
外科医不足の地方の病院への影響です。 島根県済生会江津総合病院では、2022年度末から、外科で医師の退職が相次ぎ、代わりの医師を確保できる見通しが立たず、外科が閉鎖となりました。 さらに、脳神経外科では、1人のみだった常勤の医師が退職し、非常勤の医師が診察する体制になったため、週1回の外来診療のみになりました。 現在、病院では、手術が必要な疾患の受入れは出来ない状況です。 この病院の担当者は、 「医師不足に加えて、医師の高齢化も進んでおり、地域の医療ニーズに応えることが困難になっている。近隣の病院との連携に努めているが、他の病院も医師不足で、医師派遣が難しい状況」だと話しています。
■外科医は20年で半減 なぜ? 解決の糸口は「女性」
外科医の人数です。 2002年は2万3868人で、医師全体に占める割合は9.6%でしたが、2022年は1万2775人で、医師全体に占める合は3.9%です。20年で約1万人減少しています。 なぜ、外科医が減っているのでしょうか。 大阪医科薬科大学の河野恵美子さんによると、 ●勤務時間が長い ●他の科に比べ、一人前になるまで時間がかかる ●給与が勤務量に見合っていない ●医療訴訟のリスクが高い などが挙げられるということです。 この外科医不足の解決の糸口ですが、 大阪医科薬科大学の河野さんは、“鍵”は女性だといいます。 「現状、外科は女性が非常に活躍しづらい環境。女性も外科医として働ける環境をつくることで、女性外科医を増やすことが必要」ということです。 医学部医学科に進学した女子学生の割合です。約30年間、3割台どまりでしたが、2023年度、初めて4割を超えました。 一方で、外科医は、男性が92.3%、女性が7.7%と、圧倒的に女性が少ないです。さらに、女性外科医は、35歳以上で急速に減少しています。