「シメオネは選手の輝かせ方を熟知している」公式戦12連勝中のアトレティコ、充実のスカッドでラ・リーガ優勝戦線の主役に!
逆転勝ち(ラ・リーガで4度)、後半アディショナルタイムでのゴール(公式戦13得点)、途中出場した選手のゴール(ラ・リーガで11得点)の多さが話題になっていたアトレティコ・マドリーが、そのいずれもの数字を更新する形でバルセロナとの天王山を2-1で制し、公式戦の連勝を「12」に伸ばした。 【動画】アトレティコがバルサに逆転勝利! ラ・リーガ18節ハイライト 「選手たちには、徐々に流れを引き寄せ、最後の最後までもつれた展開になれば、勝利を手にする可能性が高まること、それにはチーム全員の力が必要であることを伝えていた。試合開始から凄まじい勢いでプレスをかけてくるバルサは、その分、消耗が激しく、押している時間帯にゴールを決めることができないと、綻びが生まれやすいからね」 試合後のディエゴ・シメオネ監督の発言が、思い描いていた通りの戦い方による白星であったことを物語っていた。 復調を見せるヤン・オブラクが好セーブを連発し、コケに代わって新たな中盤の格になりつつあるパブロ・バリオスが攻守のつなぎ役を担いと、快進撃の立役者が活躍すれば、途中から3バックにシフトしてカウンターを狙う姿勢を鮮明に打ち出し、途中出場のナウエル・モリーナとアレクサンダー・セルロトが逆転弾に絡むなど、シメオネ監督の采配も的中した。 その守備的な戦い方をフリージャーナリストのサンティアゴ・セグロラ記者は、”カテナチオ”と表現し、バルサ寄りのスポーツ紙『スポルト』からは、「終始劣勢のアトレティコは、守備を固めるだけで、勝利と首位を手に入れた」、「ギャンブルまがいのゲームプランが的中し、驚くべきことにシメオネは株を急上昇させている。目的が手段を正当化させた」といった声が上がっているが、それはもはや負け惜しみにしか聞こえない。 快進撃の最大の立役者はやはり、シメオネ監督だろう。コケのようなレジェンドをスタメンから外し、エースのグリーズマンが交代を命じられても物議を醸さないのは、すべて指揮官のマネジメントの賜物だ。 戦術アナリストのアルベル・ブラジャ氏もスペインメディア『Relevo』 で、「シメオネは選手それぞれにどのような持ち場を与えれば、輝きが増すのかを熟知している。その手腕によって当初、不安視する向きもあったアトレティコの選手層は厚みを増した。それはコケやサムエル・リノといった昨シーズンの不動のレギュラーがポジションを失ったほどだ。しかもそうした選手たちですら悔しさを情熱に変えて、与えられた役割を全うしている」と評価する。 現在はコメンテーターとして活躍するバルサOBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏も、「私が覚えている限りでは、これほど多くのリソースとバリエーションを持ったアトレティコを見たことがない」と語るほどに、アトレティコのスカッドは充実している。 バルサが急失速し、マドリーは怪我人が続出して、選手層に不安を抱えている。混戦になればなるほど存在感を増すアトレティコが、ラ・リーガの優勝戦線の主役に躍り出てきた。 文●下村正幸
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