「一部でいいから開放を」遊漁船業法改正で防波堤立ち入り禁止に 安全対策との狭間で渡し船の船長切実 黙認状態の過去には釣りの全国大会も開催の “那覇一文字”
那覇港の沖に浮かぶ、通称「一文字」と呼ばれる防波堤がある。昔から多くの釣り人たちに利用されてきたこの場所は、今年4月の法改正を受けて、利用できなくなった。釣り人はもちろん、釣り人を防波堤へと運ぶ遊漁船の運航を生業としていた業者にとってはまさに死活問題。現状を取材したー 【写真を見る】「一部でいいから開放を」遊漁船業法改正で防波堤立ち入り禁止に 安全対策との狭間で渡し船の船長切実 黙認状態の過去には釣りの全国大会も開催の “那覇一文字” ■元々「立ち入り禁止」だが… 長年 “実質黙認” 那覇港の沖に浮かぶ防波堤、通称「一文字」は元々、人の立ち入りは想定されておらず、原則立ち入り禁止。しかし全長が約3.2キロ、幅も広いところで30メートルほどあるため、格好の釣り場として、これまで少なくとも50年以上にわたって利用されていた。 釣り具メーカーによる大会も毎年開催されるなど、利用が事実上黙認されていた「一文字」。 ところが、2022年4月に起きた北海道知床沖での観光船沈没事故をきっかけに、国は法改正に乗り出し、釣り客を乗せる遊漁船が立ち入り制限場所に客を運ぶことを明確に禁止する新たな法律が、今年4月に施行された。 県内の釣り人たちからは困惑の声が上がっている。 ▽釣り人 「自分は(一文字に行き始めたのは)ここ数年だけど、毎週末通っている人たちも多くいた。その人たちは(今は)どこで釣りしているのかな」 こうした状況に、釣り具用品を扱う県内の店舗では、これまで通り釣り人が「一文字」を利用できるよう求める署名活動を始めている。 ▽釣り客 「(一文字で釣りをして)もう30年くらい? にはなる」「危険な場所ってそんなにないと思うよ」 「皆がルールを守れば、ごみを持ち帰ったりライフジャケットもつけて、そうすれば安全かと思う」 「近場でとても良い所なので、ぜひ再開してもらうように願うばかりですね」 釣り具店「シーランド」那覇店の島袋光佳店長によると、客の8割は署名に応じるといい、「早く開放してもらえればありがたい」と話す。 18日には、防波堤を管理する那覇港管理組合の議員らが、現状を把握するため現地を視察した。