ロバーツ監督（後方右から２人目）らが見守る中で、紅白戦で打席に立った大谷（カメラ・安藤　宏太）

　ドジャース・大谷翔平投手（３０）が、ポストシーズン（ＰＳ）初戦となるパドレスとの地区シリーズ第１戦を２日後に控えた３日（日本時間４日）、ドジャースタジアムでの紅白戦の主力組の１番に入って調整を行った。５日（同６日）から地区シリーズで対戦するパドレスはレギュラーシーズンで５勝８敗。大谷も打率は３割２分６厘だったが、１２試合で１本塁打、７打点と決して打ちまくっていたわけではない。投打にタレントがそろい、後半戦は尻上がりに調子を上げてきたパ軍の勢いを安藤宏太記者が見た。 　決戦を２日後に控え、大谷は紅白戦に出場した。主力組の１番に入り、報道陣に公開された２打席目までは二ゴロ、空振り三振。快音こそ響かなかったが、登場曲もかかる本格的な演出の中で、本番へ向けて気持ちを高ぶらせた。 　対戦相手のパドレスは、恐ろしいほど勢いに乗っている。大谷が米７年目でようやく手にしたＰＳでの最初の対戦相手。シーズンでは５ゲーム差をつけたが、直接対決では５勝８敗と負け越し。侮れない強敵だ。 　ブレーブスとのワイルドカードシリーズ（ＷＣＳ）は２連勝で突破。初戦は先発のキングが７回無失点１２Ｋで、無失点リレー。２戦目は２回２死走者なしから６連打で逆転し、先発・マスグローブが４回途中で右肘の張りのため緊急降板したが、リードを守り抜いた。 　後半戦は４３勝２０敗の勝率６割８分３厘で全３０球団のトップ。先発は地区シリーズ初戦先発の１４勝シース、ＷＣＳ初戦で快投の１３勝キングを中心に、実績のあるダルビッシュ、マスグローブも控える。マスグローブは右肘の張りで離脱が濃厚だが、ド軍戦は通算で０勝７敗。ド軍にとってみれば、他の投手が先発した方が不気味だ。 　ブルペン陣も抑えにはリーグ３位の３６セーブを挙げた元阪神のスアレスが君臨。大谷と対戦する可能性の高い左腕だけでもスコット、モレホン、Ｗ・ペラルタ、松井と並び、特にスコットには９打数１安打と抑え込まれている。右腕もアダム、ホーイングがパ軍加入後は防御率１点台。大谷はこのカード１２戦で１本塁打しか打っておらず、なかなか隙のない投手陣だ。 　打線も手ごわい。レギュラーシーズンの１４５６安打、チーム打率２割６分３厘は、ともに３０球団トップだ。大谷を上回って３年連続首位打者のアラエス、２１年本塁打王のタティス、通算１９００安打、３４２本塁打のマチャドらが並ぶ。９番のヒガシオカもＷＣＧで２戦連発と、下位でも得点力はある。 　さらに、最大の脅威はファン。２日には試合後に「ＢＥＡＴ　ＬＡ！（ＬＡを倒せ）」の大合唱が巻き起こった。約２００キロしか離れていない同地区のド軍は最大のライバル。３、４戦目の本拠地での試合は、ロサンゼルス在住の住民はチケットが買えないようになっているという。事実上、ドジャース・ファンを閉め出した。 　「ここから先はシーズン中に積み上げた成績とか、数字というのはもう意味がないので、しっかり自分の調子を維持すること。気持ちを切らさずに、まず間の日を過ごしていきたい」と話していた大谷。頂点まで１１勝となったが、最初から飛ばしていく必要がありそうだ。（安藤　宏太） 　◆八村塁「素晴らしい」 　ＮＢＡレイカーズの八村塁（２６）は３日、米大リーグで史上初の「５０本塁打、５０盗塁」を達成したドジャースの大谷翔平について「素晴らしい。メンタルもあると思うが、そういう能力があり、自分を出せている。すごく大変なことだと思うし、それをやっているというのがすごい。日本人として誇りに思う」と祝福。キャンプ地のロサンゼルス近郊で語った。 　プレーオフ地区シリーズでドジャースの相手がダルビッシュ有らのパドレスに決まり「どちらが勝つと思うか」との質問を受けた。「難しい。ダルビッシュは僕のメンター（助言者）であり、いつも僕のことを支えてくれている」と複雑な様子だった。八村は元野球少年で、名前も野球が由来。ウィザーズ時代の１９年には、大谷が八村の試合を観戦し、また２３年には八村がドジャースのユニホームを着て当時、大谷が所属していたエンゼルス戦の始球式を行ったこともある。