「憧れるのをやめましょう」大谷翔平のスピーチで話題 やる気引き出す「ペップトーク」 認定講師にこつを聞いた
落ち込んだ時、緊張している時にポジティブな言い方でやる気を引き出す「ペップトーク」という話法がある。自分自身だけでなく、同僚や家族への声かけにも活用できる。日本ペップトーク普及協会(神奈川県)の認定講師、松永佳世子さん(55)=広島市=にこつを聞いた。 【写真】「ネガティブな感情を、どうポジティブに変換するかは『生きる力』にもつながる」と話す日本ペップトーク普及協会の松永さん ペップトークは、米国のスポーツの現場で生まれた肯定的な言葉がけ。試合に向かう選手への短い激励スピーチだ。昨年、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝前に、大谷翔平選手がチームメートにかけた「憧れるのをやめましょう」という声かけも話題になった。
大谷スピーチを例にすると
松永さんによると、ペップトークは(1)事実の受け入れ(2)捉え方の変換(3)行動変換(4)背中の一押し―の四つの枠組みで構成するのがポイント。大谷選手のスピーチを例にすると―。 (1)冒頭の「憧れるのをやめましょう」に続けて米大リーグの有名選手を挙げ、「今日一日だけは憧れてしまったら超えられない」と共感できる話で事実を受け入れる。 (2)「僕らは今日超えるために、トップになるために来た」と、目的や納得できる理由を伝えて捉え方をポジティブに変換。 (3)「今日一日だけは憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」と、今できる直接的な行動を指示。 (4)「さあ行こう!」とみんなの気合が入る一言で勇気づけ、背中を押す。 松永さんは「まさにペップトークの4ステップに当てはまる。選手たちはこの声かけで、興奮状態から冷静さも取り戻したと感じた」と分析する。
成功をイメージしやすい言葉がけ
「誰が、何を、どう言うかが重要なんです」と松永さん。まずは、当事者がどう感じているか、ネガティブな感情も含めて受け入れる。そして、プラスの面やできているところにフォーカス。「〇〇するな」ではなく、「〇〇しよう」といった成功をイメージしやすい言葉がけで行動に促す。最後は、その人に合った言葉で背中を押してほしいという。短いフレーズを使った方が効果的だ。 肯定的な言葉を口癖にするなど、ポジティブな考え方を習慣化するトレーニングのほか、同僚たちを励ますときには普段からのコミュニケーションも大切という。松永さんは「どんな言葉が響くのか、普段から同僚のことを知っておいて」と呼びかける。相手を本気で応援する気持ちも欠かせない。
中国新聞社