農林中金が1兆2000億円の資本増強検討、外債ポートフォリオを見直し
(ブルームバーグ): 農林中央金庫は、運用収益が悪化した外国債券の売却に伴う損失をカバーするため、1兆2000億円の資本増強を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によれば、同社は有価証券ポートフォリオを見直す結果、今期(2025年3月期)決算で5000億円超の赤字に転落する可能性がある。同社は22日に前期(24年3月期)決算を発表する予定。
農林中金の広報担当者は、資本増強などについて、何も決定していないと述べ、それ以上の詳細な説明は避けた。資本増強検討については日本経済新聞が先に報じていた。
農林中金は約56兆円に上る有価証券を運用する主要な機関投資家で、その半分以上を債券が占めている。22年に米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを開始したのを受け、外貨調達費用が増加、利回りの低いときに購入した債券の収支が悪化していた。
農林中金は今期、含み損を抱えるこれらの債券を処分して損失を計上する見込みだ。昨年12月末の債券の評価損は約1兆9000億円に達し、22年3月末の約3300億円から増加した。
SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは、他の金融機関での外債運用について、「過去数年間でメガバンクや地銀は外債の処理をすでに行ってきたので、リスクを抑え込めている」との見方を示した。
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Taiga Uranaka, Nao Sano