【データ解析】主要国の株式市場は「軒並み下落」 23年10月のマーケットを振り返る(三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジストが解説)
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。2023年10月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。
1.概観
【株式】 10月の主要国の株式市場は、米長期金利が大きく上昇したことや中東情勢の不透明感などから、投資家のリスク回避姿勢が強まり、軒並み下落しました。米国株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測や、債券需給の悪化懸念から米長期金利が大幅に上昇したことを受けて、ハイテク株を中心に軟調な展開となりました。欧州の株式市場は、景気が低迷するなか、米国株の調整を受け、下落しました。日本の株式市場も、米国株の下落や日銀の政策変更への懸念などから弱含みで推移しました。中国株式市場は、景気対策期待が下支えとなったものの、中国不動産市場の低迷による景気減速懸念などから、上海総合指数、香港ハンセン指数ともに続落しました。 【債券】 米国の10年国債利回り(長期金利)は、FRBの金融引き締めが長期化するとの見方が一段と強まったことから、一時5.0%台を付けるなど大幅に上昇しました。一方、ドイツの長期金利は、欧州中央銀行(ECB)が11会合ぶりに利上げを見送ったことやドイツ景気の減速を受けて、低下しました。日本の長期金利は、月末の日銀による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正を受けて、10年ぶりの高水準に上昇しました。 【為替】 円の対米ドルレートは、米長期金利が大幅に上昇するなか、月末に日銀がYCC再修正を決定したものの、151円台に下落しました。 【商品】 原油価格は、中国や欧州を中心とした世界景気の先行き懸念を背景に、原油需要が鈍るとの見方が高まり、大きく下落しました。
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