「本当に痛ましい」柔道で再び疑惑の判定が波紋 セルビア人選手が反則負けに涙の猛抗議 母国紙は不満「礼すら望まない」【パリ五輪】
判定を巡る涙の敗退劇が波紋を呼んでいる。 物議を醸したのは、現地時間7月31日に行われたパリ五輪の柔道男子90キロ級での一幕だ。2回戦でテオドロス・ツェリディス(ギリシャ)と対戦した元世界王者のネマニャ・マイドフ(セルビア)が3度の「指導」を受け、まさかの反則負け。敗退直後に判定を不服として猛抗議を繰り広げた。 【画像】ドラマ相次ぐパリ五輪の「悲喜こもごも」を厳選フォトでチェック! お互いに一歩も譲らなかった攻防戦は思わぬ決着を見た。試合終了間際の3分50秒を過ぎた際にマイドフが、袖の取り合いとなったところで相手の組み手を切ったような動きを見せると主審は「待て」とコール。直後に27歳のセルビア人に3度目の「指導」を宣告した。 両手を広げ、不満げな表情を浮かべたマイドフは、審判に詰め寄って猛抗議。説明を受けてからも畳上を歩き回り、抗議の意志を示し続け、ツェリディスの握手も拒否した。 とはいえ、敗北は敗北。最後はツェリディスに歩み寄られ、優しく抱擁されると、183センチ、90キロの大男は涙。最後も礼をすることなく畳を降り、悔しさを露わにしたマイドフだったが、異例の光景にスタンドは拍手喝采となった。 今大会の柔道は不可解な判定が何かと話題となっている。それだけにマイドフに対するジャッジも物議を醸した。 セルビアの日刊紙『Meridian Sport』は「彼にとって厳しすぎる判定で、全てが終わった瞬間に感情を抑えることはできなかった」とリポート。さらに同国の日刊紙『Telegraf』も「衝撃的だ」と名手の早期敗退を伝え、「本当に痛ましい敗戦だった。おそらく選手たちはもっと競技がシンプルになることを望んでいる」と審判の判定に異論を唱えた。 「明らかにマイドフにとっては理解に苦しむ判定だった。だからこそ彼は3度目に警告を受けた時に、ルーマニア人主審に激怒し、試合後の伝統的な礼すらも望まなかった。結局、マイドフは涙を流しながらライバルの抱擁を受け入れたが、間違いなく納得のできる敗退ではなかった」 日本人選手たちを含めて際どい判定が話題となっている柔道。その余波は国際的なものなっている。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]