【二十四節気とフローリスト】8月22日は「処暑」。暑さ収まる時期の花束を提案
古来から伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。厳しい残暑が落ち着き、朝夕には涼しさも感じられる頃とされる処暑。この季節にぴったりの花束を東京・代々木八幡の「edenworks bedroom」に束ねてもらった 【写真】花束はそのまま飾っても様になる
処暑 8月22日~9月6日
落ち着く、収まるの意味がある“処”。文字通り暑さが収まりはじめる処暑。残暑の厳しさ、台風など、自然の脅威に警戒したい時季だが、まっすぐ伸びていた稲穂がゆっくり頭を垂れはじめ、虫の鳴き声が変わり、秋のはじまりが感じられる頃。 万葉集に収められている山上憶良(やまのうえのおくら)の2首が原典となっている秋の七草も見頃を迎える。 「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」 「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」 現在では、「朝貌」は朝顔ではなく「桔梗」のことであったとされる説が一般的で、現代でもその七草を見ることができる。この歌を口ずさみながら、秋を探しに出掛けてみてはいかがだろうか。 秋が旬の花が本格的に出回り始める季節。ダリア、コスモス、スプレーバラの愛らしい花々に、夏の終わりを感じさせるクレマチス、トルコキキョウを取り入れた、季節が移り変わる処暑にぴったりの花束だ。 「ガーデンをイメージして束ねることが多い」というフラワークリエイターの篠崎恵美さんの言葉通り、どの花も輝いて見える素敵な庭の世界観をそのまま束ねたような花束が、この店の特徴だ。
2015年にオープンした、代々木上原と代々木八幡の間にある「edenworks bedroom」。店名にbedroomが入っているのは、夢を見る場所である寝室で、夢や希望を花に託したいという想いからだ。当初から感度の高い人たちの間で話題となり、週末限定オープンながらも、長く通う人からはじめての人まで、素敵な花を見つけたいという人々が訪れる。 「花も野菜と同じく鮮度が重要。生き物なので、生命力を感じるものを選ぶようにしています」と篠崎さんが話す通り、色鮮やかで葉先までピンと伸びた草花が並ぶ。 2009年に独立し、植物に関するすべてのことを知り、その表現を未来に繋げたいという思いから「edenworks」を設立。売れ残ってしまった生花をドライフラワーに加工し、オリジナルアレンジメントパッケージを作ることができるドライフラワーショップ「EW.Pharmacy」や、コンポストして土に還し、その土で植物を育てる循環をテーマにしているコンセプトショップ「conservatory by edenworks」など、「花を棄てずに未来に繋げる」の理念を具現化しているショップを展開。生花だけではない、花との関わり方を提案している。 今後について話を聞くと、「花業界に限らず、食べ物や住環境など、植物にまつわることについての視点や可能性を広げて考えていきたい」と語る篠崎さん。美しい花を楽しみながら、その先について考えるきっかけになる花屋だ。 edenworks bedroom エデンワークス ベッドルーム 住所:東京都渋谷区元代々木町8-8 motoyoyogi leaf 3F 定休日:平日 営業時間:13:00~20:00 現在は、土日限定オープン。最新のオープン状況はインスタグラムから 参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA 『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社 山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版 TEXT BY YURI TAKAHASHI