芸術か?猥褻か?芸歴35年の現役ダンサーが減少するストリップ劇場のリアルを激白「誇りを持って仕事をしている」「表現の場を壊さないでほしい」
昨今、減少傾向にあるストリップ劇場だが、現場の人々はどう思っているのか。ABEMA的ニュースショーが現役ダンサーに話を聞いた。 【映像】相田さんが劇場で踊る姿(複数カット) 大阪市北区の「天満東洋ショー劇場」が摘発され、経営者と従業員、ダンサーのあわせて10人が公然わいせつの容疑で逮捕された。1985年に創業され、売上は年間約2億6000万円で「西日本最大級」をうたっていた。大阪府警は「ダンサーが下半身を露出。下半身をライトで長時間照らし、劇場側が用意したデジタルカメラで撮影させるなど過激な演出もあった」と逮捕理由を明かしている。 ストリップ劇場では、東京オリンピックを前にした2021年4月、東京・上野の「シアター上野」が同様の容疑で摘発され、休業を余儀なくされていた。 ストリップ関係者は、相次ぐ摘発をどう受け止めているのか。ことごとく取材拒否されるなか、たった1人だけ「業界存続のためなら」と快諾してくれたのが、現役ストリップダンサーの相田樹音さんだ。芸歴35年で、現在はフリーのダンサーとして、月の半分ほど全国のストリップ劇場のステージに立ち続けている。 取材を受けた理由は「“踊り子”という職業を愛している後輩もいっぱいいる。その子たちのために、1軒でもなくなることがないように、末永く存続してほしい」からだという相田さんが、今回の大阪の摘発について語る。 「“見せしめ”的な、巻き添えを食らった摘発だったと思う。『またか』と残念で悔しく、悲しい思いがした。いずれ再開できても、仕事が回ってこなくて、引退する子も出てくるだろう。ストリップでしか見せられないものがあり、なくしてしまうのは残念だ」 相田さんは北海道生まれで、札幌・すすきののショーパブでダンサーをしていた20代の頃、ストリップの世界に引き込まれた。職場近くの劇場で見た、踊り子たちに心ひかれて、ストリッパーに転身した。「デビュー時は厳しかった。バレエやジャズダンス、ベリーダンス、フラメンコ、日舞と、あらゆる踊りを自主的に習った。レッスン費はトータル1000万円くらい使ったかもしれない」と語る。 費用を工面するために、「家賃を払えずバイトしている子もいっぱいいる」という。「お姉さんたちがご飯を作って持ってきてくれたり、先輩たちに助けてもらった」と感謝する。いまでは相田さんの背中を追って、業界に飛び込んでくる若い世代もいる。 「20歳くらいの子が増えてきた。私のステージを見て泣いて、『会社を辞めて人生のすべてをこの道にかける』と言ってくれた。『最後まで見届けたいと思っている』と言ってくれたのはうれしい」 国内のストリップ劇場は、最盛期の300店以上から、現在は16店にまで激減した。風営法によると、ストリップ劇場は「性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行」(第2条第6項第3号)と定められている。しかし一方で、今回のように違法で過激なパフォーマンスで客をつなぎ止める劇場もある。 相田さんは「表現の場を壊さないでほしい」との願いから、「いかに美しく、感動的に表現されていても、公然わいせつに問われてしまう。法律に触れないためには、パンティーを脱がず、トップレスまで。私たちは好きで、誇りを持って、この仕事をしている。好きな世界をそっとしておいてもらいたい」と訴える。 「体が動く限り、劇場がある限り、1日でも長く踊らせていただけたらと思う。いずれ滅びてしまうと思うが、この業界はビデオに残せず、テレビや映画にも出せない世界だ。いずれなくなってしまうからこそ、今できるだけ足を運んで、目で見て楽しんでいただきたい」 (『ABEMA的ニュースショー』より)
ABEMA TIMES編集部