金融サービスを革命的に変える、DeFiの3つの道筋
2. 常時利用可能なレンディング市場
DeFiプロトコルは、貸出(レンディング)、借入、資産交換(スワップ)のための24時間365日利用可能な市場を作り出している。こうした市場は休みなく稼働しており、ユーザーはビットコイン、イーサリアム、USDコイン(USDC)などの資産を貸し出し、その見返りとして利回りを獲得できる。将来的には、国債や不動産などをトークン化した資産が追加されることも期待される。 レバレッジやリパースポゼッション(資産を複数回貸し出すというリスクの高い銀行業務)が潜んでいる伝統的な市場とは異なり、DeFiの透明性の高いスマートコントラクトは、担保が明確に管理されていることを保証し、カウンターパーティーリスクを低減する。ビットコイン保有者の間で、wBTC(ラップド・ビットコイン)のような技術を活用し、ビットコインを売却することなく、アーべ(Aave)などのレンディングプラットフォームでステーブルコインを借り、ビットコインの価格上昇への投資を続けるケースが増えている。 この仕組みでは、ローンはデジタル担保によって保証されており、担保価値が下落した場合、借り手は担保を追加するか、清算のリスクを負う。伝統的な金融に内在する不透明なリスクが存在しない、より健全なレンディング環境が実現する。
3. 自分自身の銀行になる
DeFiのおそらく最も革命的な側面は、個人が自分自身の銀行になり得ることだ。歴史を振り返ると、貯蓄貸付組合(S&L)危機から2008年の金融危機、そして最近では金利上昇による2023年の危機まで、我々は何度も銀行危機を目撃してきた。歴史的に、不安定な時期には、預金者は銀行から現金を引き出している。 今日、DeFiはモダンなソリューションを提供している。先進のマルチパーティーコンピューテーション(MPC)ウォレットにより、ユーザーは資産を安全に保管・管理でき、オンチェーンによる検証は、ユーザーがコントロールを維持していることを保証する。個人でも、ステーブルコインに価値を保存したり、デジタル資産に投資したり、分散型の貸付・借入サービスを利用できる。いずれも伝統的な銀行に頼ることはない。 SMA(Separately Managed Accounts)のようなツールを使用することで、ユーザーは銀行のバランスシート・リスクから解放され、自身のデジタル金庫に資産を保有できる。こうした自律性は、伝統的な金融戦略を反映しているが、暗号資産領域にまで拡大し、人々に金融の未来に対する、これまでにないコントロールを提供する。 Separately Managed Accounts:ラップアカウントの一種。証券会社などの金融機関が、投資家から投資判断に関する一任を受けた上で、投資家の口座において、ポートフォリオの設計から運用に関するアドバイス、実際の売買・管理、アフターフォローまでを一括して提供するサービス。手数料・報酬は、運用資産残高に応じて一定の金額が支払われる。(野村證券|証券用語解説集より)