SHEINがフランス第2のファッションブランドに
【東方新報】フランスの消費者専門誌「LSA」の最新ランキングによると、希音(シーイン、SHEIN)の2023年のフランスでの売上高は、H&M、プライマーク(Primark)、さらにはキアビ(Kiabi)(売上高は約15億ユーロ<約2433億4500万円>)を上回り、フランスで第2位のファッションブランドとなった。スペインのインディテックス(Inditex)傘下のザラ(Zara)に次ぐ位置にあるが、2024年にはフランスでの売上がザラを超えると予測されている。ドイツでも、SHEINはファッション性とコストパフォーマンスの高さから2023年に第4位のファッションブランドとなり、2024年にはさらにランクアップする可能性がある。 SHEINが急速に発展している背景には、デジタル化された柔軟なサプライチェーンがあり、これが伝統的な産業のアップグレードを促し、業界全体の競争力と持続可能性の向上を支えている。 ■需要に応じた柔軟なモデルで在庫問題を解決 ファッション業界では、消費者はコスパが良く、より多様でファッショナブルな衣料品を求めるが、実際には「トリレンマ」とも呼ばれる問題がある。それは、新しいデザインを提供しながら在庫を少なくし、さらに価格を抑えるのが難しいというものだ。新しいデザインを多く投入すると、売れ残りの在庫リスクが生じ、そのコストが価格の上昇に繋がり競争力が低下する。この在庫管理の問題は、企業の利益に大きく影響を与える。 SHEINは創業当初から、こうした課題にとらわれず、消費者を中心に据えたアプローチを取り、「小ロット・迅速な再生産」モデルを導入して、在庫と価格の削減を追求してきた。このモデルにより、SHEINは少ない在庫で新しいデザインを提供し、売れ残り在庫を業界平均の30パーセントよりはるかに低い数パーセントに抑えることができた。 ■伝統的なアパレル工場の近代化 SHEINのモデルを成功させるためには、アパレル工場などのサプライチェーン全体の協力が不可欠だ。SHEINは注文から支払いまでのサイクルを短縮して工場の資金回転率を向上させ、安定した成長を支援している。また、工場がデジタル技術を活用して大量の注文を処理できるように、専用の情報システムを開発し、無償で提供している。さらに、SHEINは工場の設備投資を支援し、工場の施設改善や従業員の生活向上にも貢献している。 ■産業の3.0時代への進化 SHEINは、アパレル業界の構造を再編し、デジタル化された柔軟なサプライチェーンの導入を推進している。SHEINは初のアパレル製造イノベーション研究センターを設立し、今後5年間で4000万ドル(約59億7880万円)を投資して、柔軟で持続可能な製造標準の確立を目指している。 伝統的なアパレル産業は、SHEINの方法論に基づいて新たな可能性を切り拓き続けている。SHEINのアプローチによって、業界全体が進化し、消費者にさらに多くの価値を提供できるようになっている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。