ドジャース、ポストシーズンの前評判は低かった!? ワールドシリーズ進出の快進撃に導いた理由とは【コラム】
シリーズを通して“神采配”披露…?
ドジャースの指導部も良い仕事をした。攻撃、防御両方での作戦勝ちと言って良いだろう。 投手運用ではNLDSで勝利を手繰り寄せたブルペン運用が再び炸裂した。Game 1はジャック・フラハティ―の好投によりすることは特になかったが、それ以外は先発が4回以内に降板するかブルペンデーであり運用の上手さが問われた。 先発のイニング消費が期待できないときは必然的にブルペンにしわ寄せがくるわけだが、ブルペンに登録できる人数は限られている。 ゆえにハイレバレッジリリーフは勝負所で惜しみなく投入する。負け試合ではリリーフの消費を抑えることが大事だ。NLDS最終戦で負傷したアレックス・ベシアが不在なのでなおさらである。今シリーズではこれを見事にやってのけた。 Game 2、Game 5 では序盤に投手陣が炎上。米分析サイト、『Statcast』の計算では両試合で3回までにドジャースの勝率が25%以下まで落ち込んでしまった。そこで首脳陣は試合を実質捨てる決断を下した。 米メディア『FOX』の中継でリポーターのKen Rosenthal氏は「ロバーツがGame 2&5で勝利を追求し過ぎなかったのは我慢の賜物だ。本音を言えば、見かけは良くなかった。ポストシーズンの試合を事実上捨てることになる。しかし、この試合に勝てば目的は手段を正当化する。 先発、(ベシアを失った)ブルペンが人手不足だったからこそ、このような采配をせざるを得なかった」とコメントしている。NLCSがドジャースの勝利で終わったから言えることかもしれないが、ロバーツ、そしてドジャース首脳陣の作戦的中だ。 攻撃面ではラインアップの微妙な組み換えが功を奏した。 元々MVP3人を上位で固定し、テオスカー、ウィル・スミス、マックス・マンシーと続く打線だが、Game 3の時点で絶不調のスミスを7番へ、マンシーを4番へと組み換え、メッツ先発ルイス・セベリーノを攻略した。この試合でマンシーは2打数2安打3四球と大活躍した。 Game 4以降はホセ・キンタナ、マナエアという左腕2人を攻略するためにシーズン対左投手OPS1.299とうちに打っていたエドマンを大胆にクリーンアップに引き上げた。彼の活躍は前述の通りだ。 メジャーでは攻撃面での小技などが少なく、攻撃中の指示だしなどが減る。ゆえにラインアップを組むことが首脳陣の最大の仕事となる傾向にあるが、その最大の仕事で最高の結果を出したと言えるだろう。
ベースボールチャンネル編集部