天然育ちの職人肌 28歳の新ブランド「ユース オブ ザ ウォーター」は“未完成”の美学
コム デ ギャルソンの「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」でパタンナーを5年間務めた上田碧が、新ブランド「ユース オブ ザ ウォーター(YOUTH OF THE WATAER)」を2024-25年秋冬シーズンに立ち上げた。ブランド名は中国唐代の文筆家・陸羽の著書「茶経」内で、茶を表現した“華”という言葉を、英語で解釈した一節から引用している。 【画像】天然育ちの職人肌 28歳の新ブランド「ユース オブ ザ ウォーター」は“未完成”の美学
デビューコレクションは、アメリカ・マサチューセッツ州ネイティックの米軍研究施設をテーマに、同施設で1960~80年代にかけて制作されたミリタリーウエアを、現代風にリプロダクトした11型で構成する。当時はテーラリングのチームが軍のユニホームを作っていた歴史を参考に、ミリタリーウエアにドレスの要素を融合。シャツのフロントを途中から比翼仕立てにしたのは、施設の作り手たちが作業時にボタン部分が引っかからないよう工夫されたユニホームにヒントを得た。生地には染色や仕上げ加工前の生機(きばた)を使い、柔らかな風合いに仕上げ ている。
ほかにも、ミリタリーでは定番のサーマルをスラックスに使ったり、糸を膨らませて凹凸感を出したウールのミリタリーシャツだったり、M-51にN-3Bを融合させたようなコートは、施設の研究サンプルをリプロダクトしたものだ。上田デザイナー渾身のジーンズは、生成の上糸と紺の下糸の色の出方を誇張させ、ステッチは熟練のデニム職人がアドリブで仕上げたものをそのまま採用した。全て日本生産で、約半分の生地はオリジナルで作っている。価格帯はアウター9万6800~13万7500円、シャツブルゾン5万600円、シャツ4万1800円、パンツ3万5200~7万9200円、カットソー2万5300~3万800円。デビューコレクションは独立して3カ月足らずの制作期間だったため、今後は型数を1.5倍ほどに増やす予定だ。アイテムも、ミリタリーを軸にしたコレクションから「シーズンによってがらりと変えていきたい」という。