日本の水道水は安全ではなかった…発がん性PFASの水汚染問題で世界的に注目される技術をもつ日本企業の名前
日本の水道水は安全でそのまま飲めると思われていたが、基準値を超える発がん性PFASが発見されたことで不安が広がっている。複眼経済塾の瀧澤信さんは「日本ではあまり報道されないがPFASは世界中で大きな課題となっている。それを解決する手法として日本の技術が見直されつつある。2025年の投資テーマの一つとなるだろう」という――。 【図表】再評価が期待される日本の技術 ■PFASで日本の技術が世界をリードする 発がん性が懸念される「PFAS」(有機フッ素化合物)が全国の水道水から検出され、心配が広がっています。11月29日は環境省と国土交通省が水道水の全国調査結果を公表しました。それによると、2024年度に富山県を除く46都道府県でPFASが検出されたといいます。 このPFAS、実は日本だけではなく世界中で大きな問題となっていますが、ここにきて解決のために日本の技術が見直されつつあり、日本が世界をリードする可能性が出てきました。そうした日本企業は今後、成長が期待できますから、投資の面からも注目に値します。この記事では、PFASで注目される日本企業について考えてみたいと思います。 どんな日本技術が注目されているかを紹介する前に、PFAS問題の動向について整理しておきましょう。 現在の地球環境がどのくらい危機的な状況にあるかをわかりやすく示す研究に「プラネタリー・バウンダリー」があります。プラネタリー・バウンダリーは、ストックホルム・レジリエンス・センター所長(当時)の環境学者ヨハン・ロックストローム氏らを中心とする研究グループが2009年に発表した論文の中で提唱したもので、昨年8年ぶりにその研究成果が更新されました。 ■PFASは地球の自浄能力では処理できない この研究の狙いは、地球自体の「新陳代謝」を見定め、その処理能力を超えているような課題はないか、を炙り出す事にあります。9つのテーマに関し、自然に回復する力が維持できる限界値を設定し、各システムがその回復能力(レジリエンス)の限界を超えていないかどうかを分析・検証しています。 最新版では、前回の発表では明確ではなかった「Novel Entities(新規化学物質)」の影響が他のカテゴリーと比較して最も問題が大きいと指摘されています。新規化学物質とは「PFAS(有機フッ素化合物」)」や「プラスチック」、「化学系農薬」などです。 この問題は、日本であまり報道されませんが、最近の国際会議などでは必ず最初に取り上げられる話題です。地球には新陳代謝や自浄能力で処理できるものと処理できないものがあります。 何が処理できて、何が処理できていないかを調べてみると、処理できていないもののうち、突出して大きいのが新規化学物質による汚染でした。つまり、人間が化学物質として作ってしまったものが地球の能力では分解できていないことが明確になったのです。一方で以前話題になったオゾン層の破壊は、さまざまな努力の結果、問題は解決しつつあることがわかりました。