タンクトップ・ギャグ・客イジリNG…サバンナ八木真澄が、絶体絶命の中で見つけた「営業の神髄」
「楽屋」の空気感を次の世代に伝える
――最後に、今後の目標を教えてください。 八木:営業に関しては、お金にまつわる話で日本全国津々浦々をまわりたいですね。イチ芸人としては、代々受け継いできた「吉本の空気感」を忘れないこと、それを次の世代の芸人に繋げることだと思います。 今は昔と違ってSNSが発達していて、一般の方でも知名度が高い人もいますし、YouTubeを見れば、面白いことをやっている人がたくさんいます。つまり、芸人と芸人じゃない人との違いがなくなってきているんです。 でも、だからといって、芸人が面白くなくなったワケではありません。お笑い怪獣と呼ばれる明石家さんまさんは、昔からずっと面白いから、今でもバラエティー番組の最前線におられます。テレビでよく見る千鳥も、若手だと霜降り明星とかも、それぞれ違った面白さがあります。 独自の面白さを持つ芸人が何人もいるから、「吉本=面白い」というイメージがあって、他の芸人にも声がかかると思うんです。だからこそ、諸先輩方が築いてきた「吉本=面白い」というイメージを損なわずに、守り続けないといけないと思うんです。そのためには、「吉本の空気感」を大事にして、次に繋げることなんです。
「前時代的な部分」だから貴重
――吉本の空気感とはどんなものですか? 八木:言葉ではうまく言い表せないですし、目に見えるものでもないんですが、あえて言うなら「楽屋」ですね。出番の合間にご飯を食べている芸人もいれば、スポーツ新聞や雑誌を読んでる芸人もいるし、その横でたわいもない話をする芸人もいたりする。そこには、吉本興業が110年の歴史で育んできたたくさんのものが詰まっています。お金では買えない、吉本の芸人だからこそ見ることができて、経験できるものばかりです。 もちろん現代においては、いろいろと効率的ではなかったり、前時代的な部分もあると思います。だからこそ貴重だと思うんです。 自分より1日でも遅く入った芸人は売れている、売れてないに関係なく、誰もが後輩で、お金がなくても先輩がジュースをおごったりする独自の文化が生まれて、それが受け継がれてきた場所です。昔から続く楽屋の景色を守り続けることが、吉本のお笑いを先輩から後輩に繋いでいくことなんだと思います <取材・文/安倍川モチ子 撮影/星亘> 【八木真澄】 吉本興業所属。お笑いコンビ「サバンナ」のツッコミ担当。FPの資格を取得し、お金にまつわる営業でも活動中。初の自著『年収300万円で心の大富豪』(KADOKAWA)が好評発売中。X:@yagimasumi1974 【安倍川モチ子】 東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa
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