マツダのDNA、次代に伝える ロードスター開発の元主査 2026年春に整備専門学校長就任へ
マツダの小型オープンスポーツカー、ロードスターの開発に携わり、現行の4代目モデルの主査を務めた山本修弘さん(69)が、2026年春に神戸市で開校予定のマツダ自動車整備専門学校神戸の校長に就任する。「人を大事にするマツダのDNAを伝えたい」とエンジニアとしての経験を後進の育成に生かす。 同校は、マツダ車販売などの神戸マツダ(神戸市)が設立を目指している。定員は1学年50人。2年間で2級自動車整備士(総合)の国家資格を取得できるカリキュラムを組む。山本さんも教壇に立つ予定だ。 山本さんは1973年に東洋工業(現マツダ)に入社。昨年2月の退職後、親交のあった神戸マツダの橋本覚社長に協力を求められた。「学校は未知の分野だが、業界の人間として力になりたい」と今年1月、同社のアドバイザーに就いた。「整備士は機械を扱い、機械を修理しているが、その先にあるのは人だ。勉強にとどまらず、人を育てる学校にしたい」と強調する。 その考えは自身の経験にも基づく。RX―7のロータリーエンジンや2代目以降のロードスターの開発に携わる中、「自分たちが良いと思う製品が必ずしも売れるわけではない。心に響き、望まれるものでないといけない」との思いに至った。 開発責任者の主査を務めた4代目ロードスターは「車ではなく、ドライバーが主役」であることを意識した。3代目よりも100キロ以上軽くするなど、乗った人の「気持ちがいい」「楽しい」という感覚を突き詰めた。4代目は2015年のデビューから10年目の今も、大勢のファンを引きつけている。 整備士不足が全国的な課題になる中、山本さんは「身近な存在である車を支える重要な仕事」と説く。「顧客とのつながりをつくるのは、製品や技術に関する知識や腕前だけではない」。そう語り、次代を見据えた。「『あなたに見てもらって安心』と言ってもらえる人材の育成がゴール」。