「若返りサプリ」では寿命は延びない?今の子どもたちが100歳まで生きられる可能性は低い...? 新研究で判明か
人間の寿命は19世紀以降、著しく延びた。だが新研究によると、医学は進歩したものの、寿命はすでにピークに到達した可能性があり、今の子どもたちのほとんどが100歳まで生きるとは考えにくいことがわかった。 【写真】健康寿命世界1位の「香港」で生活!中医医学博士が教える、免疫力をアップさせる秘訣 『Nature Aging』に掲載された研究では、オーストラリア、フランス、香港、イタリア、日本、韓国、スペイン、スイス、アメリカ合衆国の1990年~2019年の寿命のデータを分析。 これらの国々の平均寿命が1990年から6.5歳しか延びていないことから、いま生まれた子どもの平均余命が100歳を超えるとは予測しにくいという。 100歳まで生きられるのは女性の15%、男性の5%で、「結局、生物学的エイジングの進行を著しく遅らせることができない限り、今世紀中に極端に寿命が延びるとは思えない」と研究者は述べる。
また、平均余命は環境条件に大きく左右されるとウエスト・フォレスト医科大学の老年学&老人病医療教授スティーブン・クリチェフスキー医学博士は言う。「過酷な環境下では平均余命が短くなります。現在、最も平均余命が長いのは香港です(女性が88歳/男性が83歳)」 そして、「医療技術が進歩したから、現在の人類は長生きしているにすぎない」という主張には、同意できないと博士は述べる。「1960年、65歳の男性の余命はあと13年だと予測されていました。ですが、2020年には"あと17年"に延びました。なぜここまで延びたのか。その理由には、健康な状態で老年期に入るとか、良い医療を受けているからという理由もありますが、(1960年以降の余命の延びは)ほとんど医療技術とは無関係です」と博士は言う。(つまり大きな要因は環境条件にあるということ) 薬は1度に1つの病気をターゲットにして使われていると述べ、「老化により、多くの病気が急激に発病することはよくあります。一つの病気を予防しても他の病気を予防することはできないのです」。 また、老化に伴い、本来備わっている能力ももちろん衰えていく。筋肉量、骨の強さ、脳の処理スピード、最大心拍数、腎臓機能などだ。「こうした能力が機能しなくなることで、私たちは死に至ります」。こうした変化はその人に基礎疾患がなくても老化と共に起こるもので、変化を遅くしたり逆転したりしようとする薬にできることはほとんどない。 そのほか、老化の過程にはさまざまな変動要因が関わっている。もっとも重要な長生きの促進因子となるのは「性」だ。従来よりいわれている通り、男性より女性の方が長生きする傾向があり、生まれた時のサイズや新生児及び小児医療、栄養状態、教育、良好な経済状況や、他者とのコミュニケーションなど健康の社会的決定因子も関わるとクリチェフスキー博士は説明する。また、老化の進行には炎症やインスリン耐性も大きく関わっていることが研究からわかっている。