【豆相人車鉄道】小田原~熱海まで、所要時間3時間半。「人が押していた鉄道」の廃線跡をたどる
◆人車の乗り心地は?
坂を下りきったところにある根府川の交差点からJR根府川駅前までは、再び上り坂になる。 海の見える駅として知られ、「関東の駅百選」にも選ばれているJR根府川駅は、タレントのタモリさんが「JR全駅の中で1駅だけ選ぶなら?」と問われ、同駅を選んだことから脚光を浴びた。JR根府川駅前から県道を200mほど進んだ関所跡入口バス停付近に、人車・軽便の根府川駅があった。 根府川駅跡からは、次の江之浦駅跡に向かってグイグイと坂を上っていく。人車にとって、最大の難所である。こうした難所に差し掛かると、1等車の客はそのまま、2等車の客は降りて歩き、3等車の客は車夫とともに客車を押すのを手伝わされたという。 ーーー この後、独歩を乗せた人車は、見晴らしのいい江之浦から真鶴を経由し、湯河原へと向かいます。その途中、江之浦から真鶴に向かって急坂を下りますが、その時、人車の乗心地について、主人公が発した感想とはどのようなものだったのでしょうか。なお、独歩の旅は湯河原で終わりますが、筆者はさらに終点の熱海まで歩きます。 書籍『かながわ鉄道廃線紀行』ではほかに、人車の車両はどのようなものだったのか? 関東大震災による影響は? 芥川龍之介、志賀直哉、夏目漱石らの文豪は、人車・軽便をどのように表現したか? などについてもリポートしています。 ※サムネイル画像:車夫に押され連なって進む豆相人車鉄道の車両(提供:今井写真館)
▼ 森川天喜 プロフィール
神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)。2023年10月~神奈川新聞ウェブ版にて「かながわ鉄道廃線紀行」連載。
森川 天喜