一票に込められた有権者の思い、政治不信、生活安定、平和…衆院選東京
都内30小選挙区に144人が立候補した今回の衆院選。投開票日の27日に投票所に足を運んだ有権者からは、政治家への不信のほかに、生活の安定、国防上の不安、女性の活躍などさまざまな思いが聞かれた。一票一票には、国民の大切な負託が込められている。 ■変わらない 衆院解散のきっかけともなった、自民党の派閥パーティー収入不記載事件への不信感は強い。世田谷区の無職、近藤潤子さん(84)は、「しっかりと反省してもらいたいという気持ちで一票を投じた」と話した。同区の会社員、山田謙司さん(64)は、自民党が非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2千万円を支給した問題に言及。「全く反省していない」と語気を強めた。引退議員の親族が候補者となる〝世襲〟が目立つことについても触れ、「これでは何も変わらない」とため息をついた。 ■政策論争乏しく 政治不信ばかりに目が向き、政策論争が乏しかったことへの不満も聞かれた。武蔵野市の金融会社員の男性(48)は、「物価高対策など経済政策についての訴えを聞きたかったが、具体的な話をしている候補がいなくて残念だった。いずれも似たり寄ったりだと感じた。誰になっても同じなら若い方がいい。若くフレッシュな政治で停滞した世の中に新風を吹き込んでほしい」と、消去法で投票した。 八王子市の女性会社員(36)は、「政治とカネ」を巡る問題を判断材料にしなかったという。少子高齢化などの問題を念頭に「自分たちの世代まで年金をもらえるのか不安だ」とし、「過去の話ばかりするのではなく、未来を見据えた具体的な政策を訴えて欲しかった」と各候補者に注文をつけた。 豊島区の無職、小笠原徹さん(74)は「介護など、社会保障を充実させてほしい。将来の不安をなくすのが一番の経済対策になる」と願った。墨田区の無職女性(71)は、政府が「貯蓄から投資へ」を推進する中で新NISA(少額投資非課税制度)を始めたが、株価の急落で影響を受けたといい、「裏切られた気持ち。不安な思いはもうしたくない」と振り返る。 ■未来を託す