「月に1冊も本を読まない」6割…どの世代でも進む“読書離れ”
ざっくりとまとめてみると、どの年代でもまんべんなく読書離れが進んでいる中で、若い世代ではスマホ・タブレットのおかげで本を読む時間がなく、中高年は仕事や視力低下など健康問題によって本を読まないということができると思います。 そうなると、この5年での大きな変化は、スマホやタブレットに時間が取られ、本を読む時間がない人が急増したことです。本がスマホやタブレットに取って代わられたということがいえます。 ■小中学生はよく本を読んでいる ただ、この調査は16歳以上ですから、小中学生は入っていません。ここでは別のことがいえます。 毎日新聞が開催している青少年読書感想文全国コンクールで、最新の数字では小中高生から265万点の応募がありました。全国の小中高生は約1,200万人ですので、4人に1人が応募している計算になります。高校生の応募は小中学生に比べれば少ないので、小中学生に限ればもっと大きな数字になると思います。要は、小中学生はよく本を読んでいるという数字もあるということです。 これだけの点数の応募の裏には、熱心な学校の先生方や家族の努力があります。子供に本を読んでもらうため、いい本を選んで、読書の楽しみを教えて、感想文を書くことでより深い理解を促すのです。その後、本を読まなくなってしまう子供も少なくないのですが、何かのきっかけがあれば、また本を読むようになるのではないかと思います。 インスタグラムを運営するアメリカのメタは、10代の利用者を対象に、1日当たりの利用時間が1時間を超えるとアプリを閉じるよう求める通知が届くなど、機能を制限するサービスを始めると報じられていましたが、本を読む時間がなくなるほどの利用はやはり問題でしょうから、プラットフォーム業者のこうした取り組みも有効かもしれません。 ■なぜ本を読むことが大事なのか ところで、ここで根本的なことに触れておかなければなりません。なぜ本を読むことが大事なのか、ということです。もちろん、それまでに持っていなかった知識を得るということはありますが、たとえば小説などで主人公などに気持ちになって感情を共有し、自分ならどうするだろうかと我が身に置き換えて考えることは、人間形成のうえでとても重要です。本との出会いが人生を変えることさえあります。