ベンツが神話だった70年代の「W123」…驚きの安全性と最新テクノロジーは当時の国産車では足元にも及べない知恵が詰まっていました
日本では排ガス規制にも対応したエンジン
エンジンも基本的には先代のW114/115シリーズからの踏襲だが、なにしろ時は昭和51年(1976年)排出ガス規制のころだ。排出ガス対策技術は黎明期であったため、当初の日本輸入モデルである「230」はM115型SOHC 2.3L 4気筒キャブレターエンジンを搭載し、90ps/4800rpmを発揮(本国仕様は109ps)。「280E」はM110型DOHC 2.8L 6気筒ボッシュ製Kジェトロニック燃料噴射式を搭載し、本格的にハイパフォーマンス化を果した結果、145ps/5750rpmを発揮した(本国仕様は177ps、1978年4月から185ps)。 「240D」はOM616型SOHC 2.4L 4気筒ディーゼルエンジンを搭載し、65ps/4000rpmを発揮し(1978年8月から72psに)、「300D」は画期的なOM617型SOHC 3.0L 5気筒カプセルディーゼルエンジンを搭載し、80ps/4000rpmを発揮した(1979年9月から88psに)。 1982年から新設計の「230E」はM102型SOHC 2.3L 4気筒ボッシュ製Kジェトロニック燃料噴射式を搭載し、120ps/5250rpmを発揮(本国仕様は136ps)。「280E/CE」はM110型DOHC 2.8L 6気筒ボッシュ製Kジェトロニック燃料噴射式を搭載し、145ps/5750rpmを発揮した(本国177ps、1978年4月から185ps)。 とくにM110型DOHCエンジンはハイクオリティで筆者の好きな美しいエンジンだったが、排出ガス対策でパワーは本来の20%近くをロスし、177psであるものが145psに落ちていたのが悔しかったという思いが残っている。 「300D/300TDターボディーゼル」はOM617型 SOHC 5気筒カプセルディーゼルとターボチャージャーを搭載し、88psから一気に125ps/4350rpmに出力向上した。 ATはついにトルクコンバーター式4段を採用。ブレーキはパワーアシスト付き4輪ディスクで、しかもダブルサーキットブレーキシステム(前後セパレートのサーキットを備える)で安全であった。嬉しいことに前輪ブレーキパッドが摩耗した場合、計器盤の摩耗警告灯が点灯して知らせてくれた。 ステアリングはコラムを新設計の「コルゲート・チューブ・タイプ」として軸方向と横方向の衝撃を吸収し安全性を向上させ、スアリングホイール中心のパッドはさらに大型化された。また、1982年にはSRSエアバックがオプション装備として用意されている。