「ウチらは警察や役所の下請けじゃない!」猟友会のクマ撃ちが激怒…出動要請されても協力したくない「本当の理由」
自治体と猟友会の軋轢が顕在化
クマの目撃情報が各地で続出し、人的被害が次々と出た2024年。5月15日には秋田県鹿角市(かづのし)大湯の山林で、タケノコ採りの最中に佐藤宏さん(64歳)が行方不明になり、その3日後の18日、人喰いグマに襲われた佐藤さんの遺体が見つかった。 【写真】頭部に命中した3発でようやく…最凶ヒグマ「OSO18」“最期の瞬間”! 死体検案書によると、佐藤さんの死因は失血死。頭蓋骨は損傷しており、全身に何十箇所の咬み傷があった。遺体と面会した親族もその亡骸は包帯でグルグル巻きにされており、顔も確認することができなかったという。 春によくある行方不明事案であったはずの出来事は、遺体の搬送作業中に警察官2名がクマに襲われ重傷を負うことにより、大きく報道された。 遺体の捜索作業に関わった地元の男性によると、警察官のうちの一人の顔中は血まみれで、右耳から顎までザックリと割れていた。さらに鼻の半分が取れ、残った部分はめくれあがっていたという。瀕死状態の警察官が「助けてください」とつぶやくや否や、意識を失って倒れてしまうほどの惨事だった。 そんな悲劇が発生した今年は、害獣駆除を巡って猟友会と自治体との軋轢が顕在化した年でもあった。地元猟友会の中でも数少ないベテランのクマ撃ちが匿名を条件に、その腹の内を明かしてくれた。 はたしていま、狩猟の現場ではいったい何が起きているのか。以下、彼の証言である。
趣味で免許を取得しただけなのに
ヒグマが相次いで出没した北海道では、地元の自治体と猟友会との関係が悪化したというニュースがありました。猟友会の会員として言っておきたいことがあります。“自治体が出すおカネが安すぎることが問題だ”とするマスコミ報道がありましたが、現実は違うのだと強く言いたい。 自治体が猟友会に提示した金額は、その業務に対して彼らが認めている価値そのものなんです。つまり、クマの駆除作業に関して、提示した額が妥当なのだという考えを彼らが持っているということなのです。立場によってさまざまな考え方があるとは思いますが、私たちの存在意義を不当に低く見積もられているのだと感じています。もっとおカネを出せばいいという問題ではないのです。 そもそも生活に困っている人は、狩猟を始めません。純粋に趣味として免許を取得する人が大半なのではないでしょうか。狩猟免許の取得、更新、保険加入、さまざまな申請、定期的な射撃練習に複数の講習会など、とてもおカネのかかる趣味なのです。 また、装備品についてもそうです。ライフル自体の価格も高額だし、保管するのも特別なロッカーが必要になります。ウクライナ戦争以降、火薬も雷管も価格が上がりっぱなしです。ある意味、懐に余裕のある者にしかできないのです。 ですから、支払われる金額が少ないからハンターたちが駄々をこねている、という訳ではないのです。つまり、依頼をする側の意識の問題なのだと思います。あくまでも猟友会は民間人の集まりであって、警察や役所の下請けではないのです。 2018年、北海道の砂川であった銃所持許可剥奪の影響が大きいのだと思います。駆除後の一連の警察対応は、全国の猟友会を敵にまわす結果になりました。彼ら警察は、我々民間人がライフルを持つことを快く思っていないし、できれば取り上げてしまいたいという考えが透けて見えた残念な出来事でした。 事情を知らない人は少し考えてみてほしいのです。山の中でも市街地でも、クマを撃つのは警察でもなく自治体職員でもなく、我々猟友会の会員なのです。
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