ど派手なガルウイングだけど走ればガチもんのピュアスポーツ! 単なるSL300のリバイバルじゃない「SLS AMG」の韋駄天っぷり
AMG初の完全自社開発ロードカー
2009年9月に開催されたIAA(フランクフルトショー)で、メルセデスAMG社から発表されたニューモデルが、ここで紹介する「SLS AMG」だ。 【写真】レースでも大活躍! メルセデスAMG SLSのエンジンやインテリア(全14枚) その特徴的なガルウイングドアを見れば、このニューモデルが1950年代に誕生した300SLにインスピレーションを得たものであることは誰の目にも明白なところだが、もちろんそれはただ単に300SLのもつ雰囲気を現代流に再現したものではなかった。 それはメルセデスAMGとしては初となる、完全自社開発のロードカーという、彼らの歴史上大きな節目となる一台にほかならなかったのだ。 メルセデスAMGが、このSLS AMGで掲げた開発コンセプトは「ピュアリズム」。すなわち、メルセデスAMGが理想とするスポーツカー像をいかに純粋に具現化するかがもっとも重要な課題だった。1262mmという低い車高を設定し、かつロングノーズ・ショートデッキのスタイルを採用したボディデザインは、まさにその象徴的な例。大きな開口面積をもつシングルルーバーの中央部にスリーポインテッドスターをレイアウトするフロントグリルもまた、往年の300SLとの関連性を物語っている。 SLS AMGの基本構造体は、アルミニウム製のスペースフレームだ。それが軽量性とともに高剛性であることがその特長であることは、詳しく説明するまでもないところだろう。 ボディシェルも、その96%はアルミニウム素材によるもの。残りの4%は超高張力鋼板で、これはロールオーバークラッシュ時などの安全性確保の目的で、Aピラーの内部に使用されている。注目の車重は1620kg。徹底した軽量化の効果は確実に表れていた。 前後のサスペンションは、こちらもアルミニウム製のダブルウイッシュボーン形式。スペースフレームと同様に剛性に優れるこのサスペンションは、コーナリング時の操縦安定性はもちろんのこと、乗り心地の向上にも大きく貢献し、実際にSLS AMGのステアリングを握るユーザーは、常にリニアで快適なハンドリングを体験することが可能とされる。 ブレーキはフロントに6ピストン、リヤに4ピストンのキャリパーと、鋳鉄製のドリルドベンチレーテッドディスクを組み合わせたもの。これに3モードのESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)やASR(アクセレレーション・スキッドコントロール)の制御が加わることにより、常に安全でダイナミックな走行を楽しむことができる。