宅配ボックス、シルク美容液…横浜銀行、ネットワーク生かし市のふるさと納税に一役
12月に申し込みが殺到するふるさと納税だが、横浜市の返礼品開拓に横浜銀行が一役買っている。地銀ならではの信頼とネットワークを駆使して地元の名品を市に紹介し、新たな風を吹き込んでいる。同行では「企業の支援や市の財源確保につながれば」としている。 事の発端は、ある会合での市職員との会話だったと、同行横浜市庁支店の千田美佐支店長は振り返る。 「どこかいい返礼品はないですかね」。「きらっと光る製品を作っている会社があるかもしれないですね」。そんな何気ない雑談に、同行関係者が反応した。 観光都市のイメージが強い横浜市だが、モノづくりも盛んだ。同支店では地域戦略統括部などに協力を依頼し、検討を開始。地域に密着した活動で培った情報網を生かし、候補となる企業をリストアップ。市との橋渡しを行い、まずは今月、錠前メーカー「アルファ」(横浜市金沢区)の宅配ボックス(寄付金額55万円)と、化粧品会社「長寿乃里」(横浜市西区)のシルク美容液など4品(同1万4千円~2万円)が返礼品に加わった。 アルファ住設機器事業部の平原崇さんは「こういった形でお声がけいただいたことは光栄。ふるさと納税を通じて地域貢献できれば」。長寿乃里マーケティング統括本部の小野田厚さんは「販売場所やチャネル(流通経路)が既にある中で、(商品を普及する新たな方法を検討すべく)背中を押していただいた」と語る。 紹介を受けた市財源確保推進課幹部はその手際の良さに「市内企業のことをよくご存じだし、(返礼品についての)企業の方との1回目の打ち合わせまでがスムーズ」と舌を巻く。 一方で、銀行側にも取引先の販路拡大や取引先とのコミュニケーションの機会創出といった利点があったという。千田支店長は「市の行政施策を支援するのも支店のミッション。今後も協力は惜しまない」と話している。(橋本謙太郎)