忙しい時つい見失いがちなビジネスの鉄則とは 起業家として大成功したミュージシャンの教え
4 ウェブサイト上で有料の優先表示はしない(資金の余裕がない人に不公平だから)。 (12ページより) 音楽産業に詳しい方なら、このやり方がいかに画期的であるかがわかるはずだ。大手レコード会社のビジネスとは対照的な、インディーズ視点のアプローチだからである。 顧客とのつながりを大切にするという発想も、いたってDIY的。1960年代以来、音楽活動からマーケティングまで、すべての業務を自分たちでやってきたグレイトフル・デッドというバンドの姿勢に通じるものがある。
■起業とは、自分のユートピアをつくること いずれにしても、これが著者の使命になったのだ。そんなこともあり、起業に関する考え方も独特だ。 起業とは、すべての法則を自分でコントロールできる小さな宇宙をつくることだ。それは自分の理想の世界、ユートピアをつくることにほかならない。 そして、自分の夢を叶えることは、別の誰かの夢も叶えることになる。 (13ページより) CDベイビーが成功する前、シヴァーズは「みんなが本当に欲しがるもの」を提供できる存在になろうと、ありとあらゆるマーケティング手法を試し、必死に人脈をつくり、プレゼンし、売り込みをしたという。
だがそれは、つねに向かい風を受けているかのような苦しい戦いだったようだ。 結果的に成功にたどり着いたことを「まるで、ヒットソングを書いたみたいだった」と形容しているのも、そこにたどり着くまでのプロセスが決して順風満帆だったわけではないからなのだろう。 ■ヒットしなければ、切り替える たしかに音楽業界では、ソングライターが書いてきた100曲もの曲のなかのひとつが突然、人々の心をつかんでヒットすることがある。
理由は説明しづらいが、いろんな偶然が重なったり、いくつもの要素が魔法のように組み合わさったりして、大勢の人に愛されるようになるということだ。 そしてヒットが生まれると、それまで閉ざされていた扉が突然大きく開き始める。 では、シヴァーズがこの経験から学んだ教訓とはなんだろう? 世間では、「成功するには忍耐力が必要だ」とよく言われる。でも、僕はその言葉を誤解していた。 成功とは、改善と発明を繰り返すことによってもたらされる。うまくいかないことを繰り返してもたらされるのではない。忍耐力は、改善と発明を繰り返すことに費やすべきなのだ。