「得体の知れない劇薬が生まれた」 『脱法ドラッグの罠』著者・森鷹久氏に藤井誠二が聞く(第2回)
2014年7月、厚生労働省と警察庁により「危険ドラッグ」と名称を改められた脱法ドラッグ。現在も危険ドラッグが原因と見られる事件、事故が後を絶たない。そもそも、危険ドラッグはどれほど危険なものなのか。なぜ、若者や中高年を惹きつけるのか。販売業者や危険ドラッグ常用者への取材を重ね、『脱法ドラッグの罠』を上梓したライターの森鷹久氏に、ノンフィクションライターの藤井誠二氏が聞いた。 全5回に分けてお届けするインタビューの第2回目のテーマは、「得体の知れない劇薬に変化したドラッグ」。
「ドラッグ」ではなく、「劇薬」に変化
藤井:「ドラッグ」そのものの、モノが変わったってのは、どういうことですか。 森:新宿などにある「危険ドラッグ」販売店の店員が言ってた話なんですけど、今までのものは大麻に似てた。だからこそやっぱり大麻が好きな方が皆さんやってらっしゃった。ただ第4世代から第5世代になるときに、成分が大幅に規制されてしまったので、今までみたいなそういう快感を得られないんじゃないかっていうこう悲観的というか、割とそういう見方をされる方が多かったんですけど、実際5世代が出てきてみたら、みんなびっくりした。なんだ、これと。もう完全にケミカルだと。当然それまでもケミカルなんですけど、そのケミカルさが非常に強くなったと。ドラッグ愛好家の中で「あったかいもの」とか、「冷たいもの」とかいう言い方をするんですけど。 藤井:「冷たいもの」と、「あったかいもの」というのは簡単に言うとどういうことですか。 森:「あったかいもの」は大麻系です。大麻は火を付けて吸うのであったかい。「冷たいもの」というのは覚せい剤。その結晶が氷に似てるとか、頭にきんとくるとか、そういったもの。感覚の表現なんです。(新世代のドラッグは)いわゆる冷たい系になったというふうにみんなおっしゃってました。 藤井:その第4世代、第5世代になってくると効き目としてはどういう変化があったんですか。 森:一概には言えないんですけども、第4世代まではリラックスができるとか……こういう言い方するとちょっと非常に誤解があるんですけども……大麻に似ててやはりリラックスするとか、ご飯がおいしいと感じるとか、ドラッグには変わりないんですけど、そういったことがあたました。しかし、第5世代になったときに、なんて言うんでしょう、目がさえるというか、いわゆる本当に覚せい剤のそれと本当に非常に似たかんじになった。 藤井:いわゆるダウナー系からアッパー系のような変化ということですか。 森:一概にそう言っていいのかは分かんないんですけど、そういう側面は絶対あると思います。