「得体の知れない劇薬が生まれた」 『脱法ドラッグの罠』著者・森鷹久氏に藤井誠二が聞く(第2回)
藤井:要するに、心臓とかなんからの疾患を起こす人もいるかもしれないけど、その前に自分で自分を傷付けるみたいな行為とかをやってしまうということですね。それで死に至ると。 森:ええ。なので、快楽を求めるために危険ドラッグっていうのはもう、まずそこの論理がまったく(違ってきています)。 藤井:そうですよね。でも、そういうふうな極めて危険なリスクの高いものであるという、自分の命がなくなるかもしれないということを知って買うんでしょうか。 森:まさか自分はっていうふうに思ってないとやらないと思うんですね。やはり皆さん、初めて吸われる方っていうのはたぶん少ないと思うんです。こんだけ危険だ、事故も確かに起きているということを報道等でご覧になられる方も多いと思うんで、新規で入られる方っていうよりは、今までもなんらかの形でドラッグに手を出してきて、それが危険ドラッグ以外でも覚せい剤だろうが、合成麻薬だろうがなんでもいいんですけど、そういう方々が、まだ使っているんじゃないかと。いくら危険だ、事故を起こすと言われていても、それは一部だろうと(思っている)。その証拠に売ってるじゃんとという、そういった考えでやはり安易に手を出して、そのまさかが自分になってしまったと。そうじゃないかなとしか思えないですね。 (第3回に続く) -------------- 森鷹久(もり たかひさ) 1984年生まれ、佐賀県唐津市出身。高校中退後、番組制作会社を経て出版社でヤングカルチャー誌やファッション誌を編集。その後、フリーランスの編集者・ライターになる。精力的にドラッグ問題を取材。 藤井誠二(ふじい せいじ) 1965年愛知県名古屋市生まれ。ノンフィクションライター。高校時代よりさまざまな社会運動にかかわりながら、週刊誌記者等をつとめながら一貫してフリーランスの取材者。『17歳の殺人者』(朝日文庫)、『暴力の学校 倒錯の街』(朝日文庫)、『人を殺してみたかった』(双葉文庫)、『コリアンサッカーブルース』(アートン)、『文庫版・殺された側の論理』(講談社アルファ文庫)、森達也氏との対話『死刑のある国ニッポン』(金曜日)、『アフター・ザ・クライム』(講談社)、大谷昭宏氏と対話『権力にダマされないための事件ニュースの見方』(河出書房新社)、『三つ星人生ホルモン』(双葉社) 等、著書多数。