奄美の自然、研究者と学ぶ 県本土から小中学生ら参加 鹿大が体験プログラム
鹿児島大学主催の「研究者と学ぶ奄美自然体験プログラム」が19日、龍郷町の奄美自然観察の森を皮切りに始まった。県本土を中心に小中学生やその保護者ら約20人が参加。2泊3日の日程で天体や植物、森や磯、干潟にすむ生き物などを観察する。ドローン(無人機)を使った海岸線やサンゴ礁の確認なども行う。自然観察の森では、奄美大島だけに生息する国の天然記念物オオトラツグミとみられる野鳥も姿を見せ、参加者らは初日から奄美の自然を堪能した。 鹿大では130人以上の研究者が奄美群島の植物や生き物、文化などを研究している。体験プログラムは各分野の鹿大研究者が講師を務め、学生もボランティアで手伝う。小中学生に研究者とじかに触れ合う機会や、大学へのイメージを持ってもらおうと初めて開いた。 19日は植物を専門とする鹿大研究者3人が講師。同大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室の研究者も支援した。参加者らは3グループに分かれ、自然観察の森やその周辺を約2時間半散策した。 植生が専門の川西基博准教授(教育学部)のグループの子どもたちは、イチジクの仲間イヌビワの果実の内側で咲く花の中で産卵し、花粉を運ぶ役割を果たすハチの仲間イヌビワコバチが花の中にいる様子や、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類のツルランの花の中の構造をルーペなどを使って丁寧に観察していた。ズアカアオバトやシリケンイモリなど多様な生き物の姿も見られた。 鹿児島市から参加した姉妹は「見たこともない生き物や植物を観察できて楽しかった」「自由研究の題材にしたい」と笑顔を見せていた。 同大学の理事で、プログラムの責任者を務める井戸章雄副学長(研究・情報担当)は「子どもたちが積極的に質問をしていた。奄美にしかない自然や生き物をじかに感じてほしい。教室では学べないことを見て聞いて触って体験してほしい」と語った。